みなさんは「獣医病理医」と聞いて、どのようなイメージを持たれるでしょうか。
獣医病理医の中村進一さんが専門にしているのは、動物の体から採ってきた細胞や組織を調べて、「病(やまい)」の「理(ことわり)」を究明すること。要は「なぜ病気になったのか、どうやって死んだのか」を調べることを生業としています。
そんな中村さんの著書『死んだ動物の体の中で起こっていたこと』(ブックマン社)から、動物の生と死をめぐるエピソードを3回に渡って紹介します。
飼い主さんから直接頼まれて
ぼくが普段行っている動物の病理解剖の多くは、動物病院・動物園・水族館などの臨床獣医師からの依頼によるものですが、それとは別に一般のご家庭の飼い主さんから直接頼まれてペットの遺体の病理解剖を行うことが時々あります。
近年、一般家庭で飼育されている動物とその飼い主である人との結びつきが強くなり、イヌやネコは単なる所有物から家族同然の存在に変わりました。それに伴い、かつて「愛玩動物」と呼ばれていたペットは、今では「伴侶動物」と呼ばれています。
家族であるペットを亡くした飼い主さんが、「この子はなぜ死んだのだろうか?」「最期に苦しんだだろうか?」という疑問を持つのは自然なことです。
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