NHK元記者が見た「カンボジア医療」超過酷な現実 国際医療NGO「ジャパンハート」の挑戦、驚く実態

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「NHKを辞めるときは本当に周りのいろんな方から心配されましたが、いざ辞めてみると『なんとかなるな!』っていうのが正直な感想です。それこそ、金銭的にはもう大幅に下がってますけど、それ以上に今が楽しいですね。自分で好きなことをやりつつ、それで生活は成り立つんだって感じました。もちろん、将来を考えると今の待遇をずっとというのは難しいですけど」

病院近くの飲食店では、子どもたち向けに、無料の日本語教室も定期的に行われている

奉仕精神のもとで活動している「ジャパンハート」は医師をはじめ、ほとんどのスタッフがボランティアかもしくはそれに近い薄給で活動している。ゆえに、将来を見据えると現実的には長く続けることは難しい。

そのため「次なるキャリア」を考えるのは当然のことだろう。そのうえで、藤田さんは現状に満足することなく、国際的な組織で働くために「さらなる挑戦」を考えている。

「辞めてもなんとかなる」「後悔はしていない」

将来的には、より大きな国際機関で働きたいなと考えています。そのためには、まずは修士号を取得する必要があるので、大学院で学びたいなと思っています。今の経験を活かして、さらにキャリアを重ねていきたいですね」

今はまだ転職して1年未満。経験したことのない医療現場での毎日は本当に学ぶことだらけだという。

大きな組織を離れたことは後悔してはいない。むしろ振り返ってみてありがたみを知ったことがよかったと語る。

藤田さんの人生のロードマップは、今まさに世界に向けて大きく描かれている途中だ。

編集者が取材に訪れた2024年3月には、病院の入口に大きな花が咲いていた(撮影:原悠介)

*この記事の前半:NHK辞めた「30歳女性」収入激減も"手にしたもの"

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松原 大輔 編集者・ライター

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まつばら・だいすけ / Daisuke Matsubara

富山県出身。編集者・ライター・YouTubeプロデューサー。中央大学法学部卒。在学中より故・永谷修氏に師事。大学卒業後、講談社生活文化局にて編集見習いとなる。その後、文藝春秋『Sports Graphic Number』編集部などで編集者・記者を経て、2018年に独立。書籍の企画、編集や執筆活動、YouTubeの動画制作・プロデュース、アーティストマネジメントなどを行っている。

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