中小企業が賃上げを実現するために必要なこと 大企業は昨年以上のベースアップが見込まれる
後藤氏:2023年に関してはかなり円安で、為替換算で順位が変わったところもある。ドイツもちょっと(成長力は)弱いので、そこは割り引いてみた方がいい。日本はかつて輸出主導だった。いまも自動車は強いが、エレキやカメラなどいろいろなものが売れていた。いまは売る力が弱くなってきてしまっている。日本のモノ、サービスを買ってもらう力がだんだん弱くなってきている。
安宅キャスター:実質GDPはどうか。昨年10月から12月期は伸び率マイナス0.1%。2期連続でマイナスとなったことを受けて、多くの海外メディアが報じている。イギリスのBBCは「日本、予想外の景気後退入り」、アメリカのCNBCも「日本経済、予想外の景気後退に陥る。内需低迷が痛手」と、景気後退入り、リセッションに入ったと報じている。景気後退というと過去の例では、バブル崩壊やリーマンショックなどたびたび起こっている。特にリーマンショック時には落ち幅が大きく、13カ月間続いた。海外メディアが報じる通りなら、今回の景気後退のインパクト、期間はどのくらいになりそうか。
「失われた30年」を取り返す最大のチャンスとも
後藤氏:景気後退、リセッションという表現は2四半期連続でマイナス成長になると使われる慣例がある。それに引っかかったというだけで、2023年も前半は結構経済成長していた。1年間で見ると、そこまで悪い状況ではないというところは見ておいたほうがいい。ただ、やはり値上げがどんどん続いて、値上げのニュースが増えてからもう2年ぐらいたっている。買い物疲れが結構出てきたりしていて、個人消費が減速しているので、方向感としてはやはりちょっと暗くなってきているなというところは意識した方がいい。
安宅キャスター:ずばりどれくらいの期間続きそうか。
後藤氏:来年は賃上げも広がってきて、経済対策もあれば、それなりのプラス成長にはなると思う。なので、リーマンショックやコロナ禍の時のようなものすごくシャープな落ち込みになるリスクまでは今のところ心配しなくていい。
松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):現在の株高だが、バブル崩壊以降の「失われた30年」を取り返す最大のチャンスとも言われている。そうした中で、岸田政権が主要なテーマとして掲げている賃上げができるかどうか、これが最大の注目点だ。賃上げに向けてはどのような方策が取られると見ているか。