三井不、オリエンタルランドとの「縁切り」の焦点 物言う株主が政策保有株の売却を要請

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では、過去にエリオットが投資した企業はどんな対応を取ったか。

2023年1月にエリオットによる株式保有が明らかになった大日本印刷は、3月に中期経営計画の骨子を発表した。ROE10%(2023年3月期7.9%)などを達成する方策として、3000億円規模の自己株取得を行う方針も掲げた。株式市場は好感し、同社の株価は急騰。エリオットも「取り組みを称賛する」との声明を出した。

この点、2025年3月期を最終年度とする現在進行している三井不の中計については、計数目標を1年前倒しで達成する公算で、三井不は年内にも新たな経営計画を発表する見通しだ。エリオットの要求にどこまで呼応するかに注目が集まる。

有事に発展するとエリオット有利か?

目下、エリオットと三井不との面談は穏健に進んでいるようだが、万が一不調に終わった場合、決着の場は株主総会へと移る。

2023年に株式を取得したアメリカのセールスフォースに対して、エリオットは役員派遣の準備を進めていた。セールスフォース側が人員削減や自己株取得の方針を公表したためにエリオットは矛を収めたが、投資先企業の対応に満足しなければ、株主提案も辞さない武闘派で知られる。

市場関係者は「(役員派遣などの)『有事』に発展した際はエリオットが有利だ」と指摘する。

三井不の株主構成を見ると、株主提案に賛成票を投じやすいとされる海外投資家が過半を握る。反面、金融機関や取引先など会社側に融和的な株主の存在感は高くない。委任状争奪戦に発展すると、多くの株主がエリオット側につく可能性がある。

OLC株をめぐっては、筆頭株主である京成電鉄もイギリス投資ファンドのパリサー・キャピタルから売却を求められている。京成電鉄も三井不同様、OLCの創設に携わった一社だ。単に生みの親という以外に、多額の株式を保有する合理性を説明できなければ、資本で結ばれた縁を断ち切ることは避けられない。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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