「きれい好きや几帳面といった性格で、手をよく洗ったり、出かけるときに戸締まりやガス栓などをこまめに確認したりする人はいます。しかし、強迫性障害はその程度がひどく過剰で、費やす時間も長く、苦しく、日常生活に支障が出るような状態をいいます」
そう清水さんは説明する。
何かしないとどんどん汚れが広がってしまうという考えから、不安で、何度も消毒用のアルコールで拭いたり、延々手を洗っていたり。あるいは、泥棒に入られるのではないかといった考えが頭から離れず、不安で、何度も戸締まりを確認したり……。
こうした強迫行為で一度は落ち着くが、時間が経つとまた不安が押し寄せてくるため、永遠と行為を繰り返してしまう。
脳内が強迫観念・行為でいっぱい
清水さんがわかりやすいたとえとして挙げてくれたのが、「脳内の円グラフ」だ。
「自分で入力すると、脳の中にどんなことをどんな割合で考えているかを円グラフで表示してくれるネットサービスがありますよね。強迫性障害の人の場合、まさに脳内が強迫観念と強迫行為でいっぱいになっている状態なのです」
強迫性障害の代表的な強迫観念と強迫行為は以下のとおりだ。
強迫性障害は決してめずらしい病気ではなく、アメリカの疫学調査によると、患者は日本の人口の1〜2%存在するとされる。
小学生から20代前半くらいの若年層に多いが、佐藤二朗さんのように成人になっても改善されず、何かのきっかけで症状が表れるケースもある。
妊娠や出産後の女性が赤ちゃんへの責任感に過敏になりすぎて発症したり、多感な思春期の子どもが受験ストレスにさらされて発症したりすることもある。
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