史上空前規模の災害医療を担った石巻赤十字病院、救護チーム統括医師に「震災後100日」の課題を聞く
--石巻医療圏では、石巻市立病院の再建が課題になっています。
これまで同医療圏では、病床数402床の当院と同206床の石巻市立病院が2次救急医療を担ってきた(石巻赤十字病院は救命救急センターを持ち、最も重篤な患者への3次救急医療も担当)。
ただ、お互いが正式に協定を結んで分担するというわけでもなく、何となく併存してきた。たとえば私たち外科医同士は親密にやってきたが、あくまでも個人的な間柄だ。行き当たりばったりで協力してきたのが実情だ。
--石巻市立病院は石巻港に隣接していたために、津波をまともにかぶりました。今後、別の場所での再建が検討されています。
私個人の考えでは、今までのような形で2つの病院を併存させることに意味はないと思う。仮に新たに作り直すにしても、医療圏全体を見渡して判断することが必要だ。
石巻医療圏では病床数の回復は不可欠だが、当院の病床数を増やすとか、隣に建てるという方法での高次機能病床の集約がキーワードだ。私自身は当院の病床数を増やすのがベストだと考える。
--雄勝地区や北上地区の医療はどのように再建すべきだと考えますか。
北上地区にある石巻市立橋浦診療所は、北上川をさかのぼってきた津波により、ふくらはぎくらいの高さまで水につかった。診療所は私たちの反対を押し切って元の場所で再開してしまったが、いずれは高台に移転するなどプランを立てるつもりだと北上総合支所長は約束した。高台への移転では、石巻市立牡鹿病院などの成功例もある。
石巻市立雄勝病院は津波の直撃を受けて医療従事者のほとんどおよび患者全員が死亡または行方不明となり、医療機能を喪失した。病院の再建は不可能であり、仮設診療所の建設が検討されている。