史上空前規模の災害医療を担った石巻赤十字病院、救護チーム統括医師に「震災後100日」の課題を聞く
ただ、その場合の課題として、医師の確保がある。東北大学や宮城県医師会、石巻市立病院のスタッフを派遣するという方法も考えられるが、当院を地域への医師派遣のセンター化する方法もある。
当院でハイレベルの医療に携わる一方、当番として1年のうち1カ月程度、雄勝地区などで勤務してもらうという方法だ。
電子カルテを共有し、患者を紹介する仕組みを作ればいい。診療所の建物は市で建ててもらい、運営は当方に任せてもらうというのが現実的な方法ではないかと個人的には考える。
--仮設住宅の建設が進む中で、患者の通院手段の確保も大きな課題になっています。
仮設住宅と市役所、病院などを結ぶ巡回バスを走らせるべきだ。避難所から仮設住宅に住民が移動していく中で、足の確保は非常に重要だ。
大手流通企業のイオンと仙南交通に要請した結果、1カ月限定でイオンと当院、市役所、震災の被害が大きい地区(鹿妻、渡波、万石浦)を結ぶバスを走らせてもらうことができた。これにより、患者さんにはできるだけ早くかかりつけ医を見つけていただくとともに、市役所で医療保険の免除証明書などの手続きを進めていただきたい。
一方、雄勝地区や北上地区については、交通網の結節点である飯野川地区に行くバスが1日3便程度しか走っていない。市には増便を働きかけているが、遅々として進んでいない。