「Xの代替」の本命と注目される「Bluesky」の"個性" 「ちいかわ」作者・ナガノさんのアカウントも

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はたして、Xの代替となるか、ですが、今の段階では未知数です。カスタマイズ性の高さに関しては、Xのアルゴリズムに不満を持つユーザーたちが好む仕様だと思います。しかし、多数のユーザーが集まる巨大なグループが形成されていることがXの強みであり、その中で意見を激しく交わしたり、バズったりすることを喜びとしているユーザーも多くいます。また、テレビのように、同じコンテンツを見ている楽しさを感じている人もいるでしょう。簡単にフィルタリングされてしまうBlueskyに、物足りなさを感じるかもしれません。まずはユーザー数の獲得がカギとなると思います。

Bluesky以外のSNSは?

一方、他の「X対抗」SNSも、代替先としてはまだ弱いようです。MetaのThreadsは、Instagramアカウントで利用できるハードルの低さでユーザー数を得ましたが、Instagramのインフルエンサーが活躍していることで独自の世界になりつつあります。

実は、Threadsも分散型SNSです。マーク・ザッカーバーグ氏は、Threadsと同じ「ActivityPub」プロトコルを採用している「Mastodon」との相互運用テストを始めると宣言しています。今後、プロトコルの違いがどう影響するのか、こちらもわかりません。

Blueskyの公式サイトには「ソーシャルインターネットにようこそ」と記されている(画像:Blueskyサイトより)

現在のXは、2023年夏に始まった「広告収益分配プログラム」により、「インプレゾンビ」が多数出現しています。インプレゾンビとは、バズった投稿にリプライを付けていくアカウントのことを指します。彼らは広告収益の分配を得るために、インプレッション(表示回数)が多い投稿のおこぼれを狙っているのです。

破綻が進むXにうんざりしているユーザーは私だけではないでしょう。はたしてBlueskyの青い蝶が私たちを自由な世界に導いてくれるのか、今後も注目していきたいと思います。

鈴木 朋子 ITライター・スマホ安全アドバイザー

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すずき ともこ / Tomoko Suzuki

メーカー系SIerのSEを経て、フリーランスに。SNSなどスマートフォンを主軸にしたIT関連記事を多く手がける。10代の生み出すデジタルカルチャーを追い続けており、子どもの安全なIT活用をサポートする「スマホ安全アドバイザー」としても活動中。著作は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)など多数。
http://tomoko.chu.jp/

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