ワークマン「職人を軽視してる」批判は本当なのか 企業イメージの変化に、消費者が追いついてない

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とはいえ、「下方修正」という言葉に引きずられすぎてはいけない。ワークマンのホームページを見ると、基本的には下方修正後の営業利益も、過去4年でほぼ横ばいの数値であり、2019年3月期の営業利益135億円から100億円ほど高い。利益率を見ても、他のアパレル企業などと比較すると依然として高水準にある。つまり、今回の下方修正は、暖冬などによる一時的なものだということだ。

にもかかわらず、こうしたニュースへのコメントを見ると、「ワークマンはオワコン」的な論調のアンチコメントが目立つのが興味深い。その中には「最近のワークマンは女子向け商品などにうつつを抜かして職人が入りづらい」「職人向けという本業を疎かにしている」という、もともとワークマンがターゲットにしていた「職人」のほうを向かなくなったことに対する不満が多い。

多くの論者が指摘している通り、高品質なモノやサービスが溢れている今、企業が商品を売るために留意するのが「イメージ」だ。「ブランドイメージ」と言い換えてもいい。

今回のニュースで明らかになったのは、消費者がワークマンに持つ「イメージ」と、ワークマンが目指そうとしている「イメージ」が離れている、ということだ。ワークマンの問題をあえて指摘するとすれば、そうした「イメージ」の一致がまだ図られていない、ということだ。

「作業服屋」から「アパレル」へ

ワークマンは1980年、群馬で誕生した。その後、全国各地にフランチャイズ店舗を増やし、店舗数は拡大。高品質かつ廉価な作業服で、作業着業界の圧倒的なシェアを勝ち取る。現在の専務である土屋氏が『ワークマン式「しない経営」』で述べる通り、ワークマンは競合他社がほとんどいない「ブルーオーシャン」の作業服業界で安定した経営を続けていたのである。

歌手の吉幾三が「行こう、みんなでワークマン」と朗々と歌いあげるCMは多くの人の脳裏にインプットされ、演歌などを聞く「おじさん」のための作業服店=ワークマン、というイメージが消費者には根強く存在していた。

これが、「本業を疎かにしている」とワークマンを批判する人たちのワークマン・イメージだ。

一方、現実には、ワークマンは、このイメージを脱却しようとしている。

次ページ作業服の「高機能さ」に改めて着目した
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