この原因は、予算の達成目標が非常に高く、ガバナンス(内部統制)が十分に機能しなかったからだと指摘されています。そもそも会社の体質に問題があったと考えられます。
資産規模・業績とも、日立は東芝より一歩リード
それでは、東芝とライバル社である日立の2015年3月期 第3四半期決算とともに見てみましょう(先に述べたように東芝の決算発表が遅れているため、ここでは同年同期の業績を比較できるように、2社ともに第3四半期の決算を使います)。問題の調査結果によっては、東芝の業績が大きく変わる可能性がありますが、大まかな規模をつかみたいと思います。
まずは損益計算書(東芝はこちら(9ページ参照)、日立はこちら(16ページ参照))、を見てください。昨年度第3四半期までの売上高は東芝が4兆7162億円(前年同期比4.1%増)、日立は6兆8180億円(同比0.6%増)です。
本業の儲けである営業利益は、東芝が1648億円(同比6.4%増)、日立は3221億円(同比9.0%増)です。事業規模・営業利益ともに日立の方が大きいことがわかります。売上高営業利益率(営業利益÷売上高)も、東芝は3.5%、日立は4.7%ですから、日立のほうが高くなっていますね。
次に、貸借対照表(東芝はこちら(8ページ参照)、日立はこちら(17ページ参照))を見てみましょう。資産合計を比べると、東芝は6兆9759億円、日立は12兆3157億円ですから、日立が東芝の約2倍の規模となっています。
安全性はどうでしょうか。東芝の貸借対照表から自己資本比率(純資産÷資産)を計算すると27.4%となります。中長期的な安全性については問題ありません。短期的な安全性を示す「流動比率(流動資産÷流動負債)」は118%ですから、こちらも安全水域だと言えます。
決算が正しいとすれば、今のところ安全性に問題はないでしょう。ただし、今後は会計の不正がどこまで根深いのかによって状況が変わる可能性がありますので、引き続き報道等最新の情報には注意が必要です。
日立も同じように調べてみますと、自己資本比率は34.1%、流動比率は138%となります。全く問題ない水準です。こちらも東芝より高い水準であることがわかります。
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