東芝「不適切会計」、今後の焦点は何なのか 「9件500億円」で終わるとは限らない
「多くの皆様に多大なるご心配をおかけしていること、2014年度決算を今だに説明できないこと、さらに期末配当をゼロ円とさせていただいたことを心よりお詫び申し上げます」。会見の冒頭、真っ直ぐ前を向いたまま淡々と話し、深く頭を下げた。
5月15日夜、緊急会見。東芝の田中久雄社長は、自社の“不適切な会計処理”問題が明るみになってから、初めて公の場に姿を現した。そこでは問題を究明するため、第三者委員会の設置を発表。元東京高検検事長で弁護士の上田広一氏など4人が選ばれた。その初会合終了後に開かれたのが、この社長会見だ。社内では特別調査委員会を設置していたが、今度は外部専門家からなる、より厳格な組織だ。
ただ、会見では、「第三者委員会の調査を待ちたい」(田中社長)と回答する場面が多く、不適切会計の規模、問題が明らかになった背景など、具体的な説明には乏しかった。
「決算発表延期」という異例の事態
東芝は4月3日、2013年度にインフラ関連事業の一部会計処理で、調査すべき問題があったと発表。室町正志会長を委員長とする特別調査委員会を設置していた。5月8日にはインフラ関連事業の工事進行基準案件で、「原価総額が過小に見積もられていた」ことを明らかにしている。2014年度の業績予想を取り消し「未定」へと変更、同年度の期末配当も5年ぶりの無配にすることを決定。決算発表自体も6月以降に「延期」していた。
さらには決算発表延期に合わせ、例年6月に開催していた株主総会も、今年は延期される見込みだ。
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