東芝「不適切会計」、今後の焦点は何なのか 「9件500億円」で終わるとは限らない

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東芝は、5月13日に、2011年度から2013年度までの3期間、営業赤字で計500億円強の過年度修正が見込まれると発表した。そして15日には、不適切会計の件数が9件に及んだことを公表した。

営業赤字500億円強の内訳として、電力システム社で4件(約60億円)、社会インフラシステム社で4件(同約300億円)、水処理などのコミュニティ・ソリューション社で1件(同約140億円)あったことが判明した。別部門でも複数件あったもようだ。

対象となっている9件の工事に関連があるかについては、「案件の大半は国内であり、案件を見る限り関連性はない」(田中社長)とし、「具体的な案件や内容については、お客様の関連もあるので、回答を差し控えたい」とかわした。意図的、組織的であったかについては、「第三者委員会で原因について調査するので、私からのコメントは控える」と語るにとどめた。

問題表面化から会見まで時間が掛かったのはなぜ?

会見が終わっても多数の記者団に囲まれた田中社長

5月連休明けには株価がストップ安となり、株式市場からの信用が失墜していた東芝。問題が表面化してから1カ月経ち、会見が開かれたことに対して、田中社長は「不確定な事実について説明するのは適切でないと会見を控えさせていただきました」と、弁明した。マーケットからの猛反発を受け、今後はできる限り、タイムリーに情報開示をしていく方針だ。

注目された経営責任については、2014年度の期末配当が無配になったことを受け、全ての取締役・執行役員の報酬を、5月から減額することを発表した。田中社長の減額割合については、「50%と考えています」と回答。他の役員の額はこれから検討するとした。

第三者委員会が実際に調査を開始するのはこれから。具体的な調査範囲や調査期間は明らかにはなっていない。果たして損失が数百億円程度で済むのか、決算に及ぼす金額全体は不明である。今後は不正が組織的だったかをはじめ、会社のチェック体制なども焦点となりそうだ。

                       (撮影:尾形文繁)

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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