当初、同社の2015年3月期の業績予想は営業利益3300億円と発表されていました。もちろん、これは問題発覚とともに取り下げられましたが、2015年3月期決算では、営業利益がどれだけ減額されているかに注意が必要です。
2つめは、東芝が保有する現預金の額です。2014年12月末時点の貸借対照表を見ると、資産の部にある「現金及び現金同等物」は2102億円が計上されています。
ここから短期的な安全性を調べるための指標「手元流動性(現金や預金、有価証券などのすぐに現金化できる資産÷月商)」を計算すると、0.4カ月分となります。一般的には、大企業ですと1カ月分強ほどあれば安全だと言われていますから、同社の場合はそれと比較すると、かなり低い水準だとわかりますが、これまではこの水準でも問題なく回ってきました。
今回の問題が、どれだけの規模になるかはわかりませんが、もし、利益の減少幅が拡大するならば、借り入れを増やす可能性もあります。「現金及び現金同等物」や、負債の部にある借入金などの項目の今後の変化にも注意が必要です。
家電は円安でさらに苦戦、減損額に注目
3つめは、営業赤字が続く家電事業(ライフスタイル事業)などで減損損失が発生する可能性です。
ライフスタイル事業は、2014年3月期まで3期連続の赤字を計上しています。2015年3月期も赤字になる見通しでした。国内での家電の販売不振が続いているだけでなく、円安の悪影響も出ているのです。
同社の家電は、大部分が海外で生産されています。ところが、円安によって原価が膨らみ、採算が悪化しました。さらに消費増税の影響も相まって、家電事業は苦戦が続いているのです。
こうした状況から、この期には数百億円規模の減損損失が計上されると言われていました。決算発表で、減損がどれだけ出るかという点にも注意が必要です。
東芝は第三者委員会を設置し、事態の解明に向けて調査を始めると発表しています。調査は過去5年にさかのぼって実施され、その対象は問題となったインフラ事業だけでなく、ほぼ全事業に拡大される見通しです。
決算発表は遅れていますが、売上高6兆円という巨大企業ですから、調査にはそれなりの時間がかかるでしょう。株式市場への不安も計り知れません。一刻も早い全容解明を期待します。
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