ケガの危険も!初心者にありがち「マズい運動」4選 偏ったストレッチや筋トレは不調の原因になる

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関係のないと思っている足裏や、腕の筋肉など「つながり」は全身に巡っています。マニアックな話をするとアゴや頭にまで「つながり」は存在します。ですから、できるかぎり全身をストレッチしてバランスをとっていただきたいのです。

④「ボディメイクのための筋トレ」と「動き・姿勢を向上させるエクササイズ」を混同すること。

筋トレが身近な存在になって久しいですが、「ボディメイクのための筋トレ」と、「動き・姿勢を良くするエクササイズ」には目的の違いがあります。

どちらかが優れていて、どちらかが劣っているということではありません。どちらももう一方の目的に役立つこともあるので明確に分けることは不可能です。わかりやすく説明すると、筋肉を大きくするには個々の筋肉に的確に刺激を入れることが重要です。そして動き・姿勢を向上するには「全体性や連動性」というものを意識しなければなりません。

例えば「ボディメイク」で腕を太くしたいとしましょう。そのためにダンベルを持って肘を曲げたりの伸ばしたりする時に鍛えられるのは上腕二頭筋という力こぶの筋肉です。この時に上手な人は体幹を固定してこの筋肉にだけ刺激が入るように動作を反復します。

一方で「動きや姿勢」を向上させたい方にはそもそもこの動作はおすすめしません。なぜならこの筋肉は「筋肉のつながり」を介して肩甲骨や胸につながるからです。鍛えて硬くなってしまうと猫背や四十肩などになりやすいからです。

とはいっても理想的には程よくメリハリのある身体を保ちながら、動作や姿勢などもしなやかなのが多く方の望むことだと思います。そのためにはボディメイク的な個々の筋肉にフォーカスした刺激を入れながら、ヨガ、ピィラティス、ストレッチなどの「つながり」をより意識したエクササイズを同じ分量取り入れるのがいいでしょう。

身体に関しての正解・不正解はない

ここまでいろいろとお話ししましたが、身体に関しての正解・不正解はありません。

『世界一わかりやすい 筋肉のつながり図鑑 』(KADOKAWA)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

なぜなら身体を通して何を表現したいのか、何を達成したいのかは人によって違うからです。

身体を大きくするために高負荷の筋トレだけをやる人もいれば、身体のサイズは気にせずに身体を動きにフォーカスしたエクササイズだけをする人もいます。

今回たびたび出てきた「筋肉のつながり」というのは正解を押し付けるものではありません。従来の解剖学というものでは腑に落ちなかった部分を補う「身体の捉え方」です。

以前よりも「全体性」というものを意識する人が増えていると感じます。それはより根本的に、より本質的に身体を捉えようとする人が増えたからではないかなと思います。

この「筋肉のつながり」について興味のある方はぜひ『世界一わかりやすい筋肉のつながり図鑑』という本を読んでいただければ幸いです。

きまた りょう ストレッチトレーナー、米国 Dr Ida Rolf Institute 認定ロルファー

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きまた りょう / Ryo Kimata

アメリカ・コロラド州にあるDr Ida Rolf Instituteで731時間の解剖学、生理学、機能解剖学、実習のトレーニングを受講。加えて大手ストレッチ専門店での4年間の経験、その他約400時間以上のセミナー・ワークショップなどで技術と知識を深める。Instagram(@ryo_kimata)にて「筋肉のつながり」イラストを定期的に投稿しており、そのわかりやすさからセラピストやトレーナーを中心に支持を集めている。著書に『世界一わかりやすい 筋肉のつながり図鑑』がある。
 

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