日本人が知らない「激安お酒」のヤバすぎる裏側 「合成酒」「醸造アルコール」の中身は…?

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「『醸造アルコール』で薄める」というとあまりイメージが良くないかもしれませんが、醸造アルコールは適度に使えば品質が安定し、味がクリアになり、後味にキレが出るなどの効果があります。

人によっては「醸造アルコール」を添加した日本酒のほうがむしろ好きという人もいますし、私も、ある銘柄の「特別本醸酒」が好きですが、これも「醸造アルコール」を添加したものです。

要は、「醸造アルコール」も使い方次第で、たんに「カサ増し」のために使われることで、日本酒本来の味が損なわれることが問題なのです。

「激安酒の正体」とは…

「醸造アルコール」を添加することで、コストダウンが可能ですが、これよりもっと安い酒があります。それは「合成酒」です。

「合成酒」は、「醸造用アルコール」に先の要領で「糖類」や「添加物」を混ぜて、酒らしい味に仕立てたものです。

添加物は20種類も使われているものもあります。風味付けのために醸造酒を少し添加することもあります。

酒店やスーパーで並んでいる一番安いお酒がこれです。

これもラベルを見ればわかります。「醸造アルコール」が最初に来ているからです。

【「合成清酒」の原材料例】
醸造アルコール、米、米麹、糖類、小麦たんぱく分解物、調味料(アミノ酸等)、酸味料

この「合成酒」は「激安の料理酒やみりん」にも使われています

昔は、「合成酒」は一口飲んだだけでそれとわかったものですが、最近では本当に技術が進み、上手に作られていると思います。

とはいえ、「合成酒」は「合成酒」であって、純米酒には遠く及びません。なにより糖類や添加物が入った飲料をたくさん飲むのは、私は気が進みません。

しかし、「『合成酒』の値段の安さは、ほかに変えられない」という人もいるでしょう。

『食品の裏側』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

私が言いたいのは「ただ安いから」というだけで飛びつくのではなく、何が入っているのか、何が使われているのか「裏側」をきちんと知ったうえで選んでほしいということです。

ぜひ「値段」だけを見て選ぶのではなく、そして「ブーム」や「目新しさ」にとらわれずに「自分の舌でおいしいと思う日本酒」を選び、上手に愉しんでほしい、と思います。

新刊『安部ごはん2』では「酒のつまみにもなる!ホタテ鍋の香ばし『みそ焼きごはん』」など絶品おつまみをいろいろ紹介しています。

どれも簡単にできるものばかりです。

日本酒の味を引き立てるのは「おいしいおつまみ」です。ぜひ作って、おいしい日本酒とともに召し上がっていただきたいと思います。

次回はよく混同されている「純米酒」「吟醸」の違いについて述べていきたいと思います。

安部氏が開発した「魔法の調味料」さえあれば、簡単につくれる「酒のつまみにもなる!ホタテ鍋の香ばし『みそ焼きごはん』」(『安部ごはん2』より/撮影:佳川奈央)
安部 司 『食品の裏側』著者、一般社団法人 加工食品診断士協会 代表理事

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あべ つかさ / Tsukasa Abe

1951年、福岡県の農家に生まれる。山口大学文理学部化学科を卒業後、総合商社食品課に勤務する。退職後は、海外での食品の開発輸入や、無添加食品等の開発、伝統食品の復活に取り組んでいる。NPO熊本県有機農業研究会JAS判定員、経済産業省水質第一種公害防止管理者を務めつつ、食品製造関係工業所有権(特許)4件を取得。開発した商品は300品目以上。

2005年に上梓した『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』(東洋経済新報社)は、食品添加物の現状や食生活の危機を訴え、70万部を突破するベストセラーに。その他の著書に『食品の裏側2 実態編 やっぱり大好き食品添加物』(東洋経済新報社)などがある。

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