石巻地域は4人に1人が失業、圧倒的多数が地元再就職を希望も不足する地場産業の求人
宮城県石巻市および東松島市、女川町の2市1町を管轄するハローワーク石巻が毎月まとめている「業務指標」によれば、震災後の3月から5月までの2カ月間に1万人近い勤労者が仕事を失ったことが明らかになっている。
ハローワーク石巻によれば、今年2月の雇用保険被保険者数は4万1614人。それが5月には3万2161人に激減している。特に4月の減少は著しく、前月比7950人減。石巻地方ではおよそ4人に1人が失業に追い込まれた計算だ。
一方、有効求人倍率は0.29倍(5月)と震災後も低水準が続いている。「新規の求人数は地元企業の努力もあって昨年の倍近くにのぼっているが、仕事を求めている人の絶対数が非常に多いためだ」(ハローワーク石巻の鈴木昇庶務課長)。
もっとも、現時点では求職活動が本格化しているとはいいがたいという。今回の震災で会社都合によって離職した人については、通常の失業給付期間および会社都合の60日加算に加えて60日分が「特例延長給付」として追加支給されている。そうしたことから、多くの人は10~11月まで失業給付を受け続けることができる。
職を探している人は、「圧倒的に地元志向が強い」(ハローワーク石巻)という。同ハローワークが5月30日から6月3日にかけて行った求職者アンケート(雇用保険受給者のみ対象)によれば「ハローワーク石巻管内での就職希望」が2714件にのぼったのに対して、「県内」は122件、「県外」に至っては14件にとどまった。
また、「就職希望の時期」については、「1カ月後」が34人に対して「2カ月後」が37人、「3カ月後」が46人などとなっており、住宅の確保など生活の再建を優先したいと考えている人が少なくないことがうかがえる。
5月時点で求人が多かった業種は建設業、医療・福祉など。新規求人数1734件のうち、建設業422件、医療・福祉270件、運輸業156件などとなっている。これに対して、製造業は120件、うち水産加工業が含まれる「食料品・たばこ」は55件にとどまる。