運転歴30年タクシー運転手の脳が成長した理屈 「加齢=記憶力の低下」は脳科学的には間違い

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「生まれてから脳細胞は減り続ける」「毎日、10万個の脳細胞が減り続けて、脳細胞が増えることはない」という話を聞いたことがある人も多いでしょう。私が医学生の頃には、「脳細胞は増殖も再生もしない」と習いました。

しかしこの話は、最近の脳科学研究では間違いだったとわかっています。

イギリスのロンドン大学のマグワイア教授が、ロンドン市内のタクシー運転手16人の脳を調べたところ、一般の人と比べて「海馬」の体積が大きく、タクシー運転手の経験が長いほどその体積は増加することが明らかにされました。運転歴30年のベテランドライバーの場合、一般の人と比べて、海馬の体積が3%も大きいという結果が出たのです。体積で3%の増加は、神経細胞の数でいうと20%も増えたということです。

ロンドンの入り組んだ複雑な道を記憶しなければいけない運転手は、日々、記憶のトレーニングをしていた。その結果として神経細胞が増殖し、海馬の体積まで増えた、ということです。

毎日、ボーッとした刺激のない生活をしていれば、脳は衰えます。脳細胞も歳とともにドンドン死んでいくでしょう。しかし、脳を鍛えることで、記憶に関して重要な働きをする「海馬」の細胞数を増やし、さらには海馬の体積を増やすこともできるのです!

脳を鍛えて、脳を育てる!

成人以降は、脳は成長しない。老化によって機能が失われていくだけだといわれていましたが、先述したように、これは間違いであることが明らかになっています。

脳の機能は、神経細胞の数と比例するわけではありません。それよりも、神経同士のシナプス結合の数と関連するのです。

神経は、神経同士でネットワークを構成していますが、その接合部をシナプスといいます。1つの神経細胞は、数千のシナプス結合によって他の神経細胞と結合しています。物凄く緻密なネットワークです。

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