中国スマホ市場「ファーウェイ効果」で底打ちか 2023年10~12月期の販売データが明確に改善

✎ 1〜 ✎ 1382 ✎ 1383 ✎ 1384 ✎ 最新
拡大
縮小

中国のスマホ市場は、2016年に記録した出荷台数約4億5000万台をピークに縮小が続き、2022年には10年ぶりに3億台の大台を割り込んだ。長期低迷の主因は、スマホの普及率がすでに飽和点に達したことや、魅力的な新製品の不足による買い替えサイクルの長期化などだ。

アップルの「iPhone」は、中国のハイエンドスマホ市場でシェアを落としている。写真は北京市内のアップルの専売店(同社ウェブサイトより)

そんななか、2023年後半から市況底打ちのサインが現われた背景について、IDCは「コロナ禍の収束後の経済正常化とともに、スマホ市場に対する(消費者の)注目が戻り、需要が徐々に増加した」と分析。ただし、市場回復の度合いは(スマホ業界の)期待値に届いていないとした。

一方、カウンターポイントのシニア・アナリストを務めるイーサン・チー氏は、市場の回復は特定要素の影響が大きいと見ている。

ファーウェイ復活でアップル苦戦

「2023年10~12月期は(比較対象である)前年同期の販売が振るわなかったことに加えて、華為技術(ファーウェイ)が投入した5G(第5世代移動通信)スマホの新製品が大ヒットしたことが、販売データの改善につながった」(チー氏)

(訳注:ファーウェイはアメリカ政府の制裁強化により約2年にわたって5G用の半導体を調達できなかったが、2023年8月末に自社設計の5Gチップを搭載した新型スマホ「Mate 60シリーズ」を発売。中国市場で品薄になるほどの人気を得た)

中国のハイエンドスマホの市場では、ここ数年、アップルの「iPhone」が高い人気を維持してきた。しかしここにきて、ファーウェイの新製品がアップルの市場シェアを奪いつつある。

本記事は「財新」の提供記事です

カウンターポイントのデータによれば、ファーウェイの2023年10~12月期の市場シェアは前年同期の9.5%から15.2%に上昇。それに対し、同四半期のアップルのシェアは前年同期の23.7%から20.2%に低下した。

(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は1月26日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT