中国のスマホ市場は、2016年に記録した出荷台数約4億5000万台をピークに縮小が続き、2022年には10年ぶりに3億台の大台を割り込んだ。長期低迷の主因は、スマホの普及率がすでに飽和点に達したことや、魅力的な新製品の不足による買い替えサイクルの長期化などだ。
そんななか、2023年後半から市況底打ちのサインが現われた背景について、IDCは「コロナ禍の収束後の経済正常化とともに、スマホ市場に対する(消費者の)注目が戻り、需要が徐々に増加した」と分析。ただし、市場回復の度合いは(スマホ業界の)期待値に届いていないとした。
一方、カウンターポイントのシニア・アナリストを務めるイーサン・チー氏は、市場の回復は特定要素の影響が大きいと見ている。
ファーウェイ復活でアップル苦戦
「2023年10~12月期は(比較対象である)前年同期の販売が振るわなかったことに加えて、華為技術(ファーウェイ)が投入した5G(第5世代移動通信)スマホの新製品が大ヒットしたことが、販売データの改善につながった」(チー氏)
(訳注:ファーウェイはアメリカ政府の制裁強化により約2年にわたって5G用の半導体を調達できなかったが、2023年8月末に自社設計の5Gチップを搭載した新型スマホ「Mate 60シリーズ」を発売。中国市場で品薄になるほどの人気を得た)
中国のハイエンドスマホの市場では、ここ数年、アップルの「iPhone」が高い人気を維持してきた。しかしここにきて、ファーウェイの新製品がアップルの市場シェアを奪いつつある。
カウンターポイントのデータによれば、ファーウェイの2023年10~12月期の市場シェアは前年同期の9.5%から15.2%に上昇。それに対し、同四半期のアップルのシェアは前年同期の23.7%から20.2%に低下した。
(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は1月26日
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