INPEXが豪LNG開発の販売先確保にメド、総事業費2兆円の巨大プロジェクト実現へ大きな前進
原油・天然ガス開発の国内最大手、国際石油開発帝国(INPEX)が豪州で予定する大規模なLNG(液化天然ガス)開発計画に、中部電力や東邦ガス、台湾中油の3社がLNGの買い手に決まった。
INPEXによると、他の複数の国内大口需要家ともほぼ基本合意に達しており、同プロジェクトの生産予定数量の全量で販売先の確保にメドがついたという。豪州政府からの最終的な生産承認などを経て、今年の10~12月に取締役会で開発投資を正式決定し、2016年後半までに生産を開始する計画だ。
豪州でのLNG開発計画は、INPEXが事業主体となり、石油メジャーの仏トタルと共同で進める巨大プロジェクト。西豪州北沖合の広大な天然ガス田(名称は「イクシス」)を開発し、そこで生産した天然ガスを陸上の専用プラントで海上輸送のためのLNG(液化天然ガス)にする。毎年の予定生産量は840万トンと、日本の年間輸入量の1割超に相当。液化プラントの建設費だけでも5000億円を超え、プロジェクトの総事業費は2兆円近くに上る見込みだ。
これだけの莫大な投資を確実に回収するためには、実際の投資に踏み切る前に、長期に渡ってLNGを買い取ってくれる大口需要家を先に確保しておく必要がある。逆に言えば、そうした長期販売先が決まらない限り、事業として成立せず、開発にも着手できない。このため、同社はプロジェクト実現に向け、大口需要家である国内の大手電力・ガス会社と長期販売契約交渉を進め、その結果が大きな焦点となっていた。
豪州で生産する年間840万トンのLNGのうち、INPEX、仏トタルの引き取り分(2社合計で180万トン)を除いた660万トンが大口需要家への直接販売枠。このうち、今回の3社との基本合意により、約250万トン分の販売先が確定した。生産開始から15年間に渡って毎年、中部電力が49万トン、東邦ガスが28万トン、台湾の石油最大手、台湾中油が175万トンを買い取る。尚、INPEXが引き取る110万トンについては、同社が有する関東甲信越のパイプラインを通じて地方の都市ガス会社などに供給する。