横浜ゴム「アドバンスポーツ」タイヤ開発秘話 欧州で鍛えた総合性能と、その未来像に迫る

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西:その実現に向け、どのような開発プロセスを踏んだのですか?

:ドライ路面とウエット路面の二律背反を成立させるためには、まずドライ路面でのグリップ力を高めるためトレッド面におけるブロック面積を大きくして剛性アップしました。しかし、単にブロック面積を大きくしただけでは排水性能が悪くなり今度はウエット路面での性能が落ちてしまいます。そこで真価を発揮するのが我々が培ってきたさまざまな技術です。これらを有機的に組み合わせロジカルに設計することができました。

V107では前身のV105から制動性能を向上させ、結果的に乗り心地もマイルドになった
V107では前身のV105から制動性能を向上させ、結果的に乗り心地もマイルドになった(筆者撮影)

:これまで我々はニュルブルクリンクで開発を重ね、さまざまな知見を得ることができました。また、業界のなかでも「ニュルブルクリンクで開発した」ことが知れわたることで一目おかれるようになりました。しかし、ユーザーの方々には、“ニュルブルクリンクでの開発が商品にどう生かされているのか”、これが伝わりにくいということも理解できました。よって我々のタイヤがポルシェやメルセデス・ベンツのAMGやBMWのMに純正装着してもらえれば認めていただけるのではないか、その一心でこれまで全力で企画、開発、製造をおこなってきました。越えるべきハードルは高く、大変な労力を必要としましたが、それだけに商品化されユーザーの方々からご満足いただけたとのお声をいただくたびに我々の士気は大きく高められ、次の商品化への力をいただいています。

アドバンスポーツの将来像

地面に触れるトレッド面の剛性はV105よりもV107がややソフトになり乗り心地が向上
地面に触れるトレッド面の剛性はV105よりもV107がややソフトになり乗り心地が向上(筆者撮影)

西:ではアドバンスポーツが目指す将来はどのような方向性が考えられるのでしょうか? 

:純正装着タイヤとして開発したタイヤを、いかに間口を広げたリプレイスタイヤとして一般市場にご提供していけるのか、これが重要だと考えています。また、BEV(電気自動車)専用といった、時代の流れにそった商品開発も不可欠です。さらに、各国各地域で求められる各種の規制や法令遵守も大切です。

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