横浜ゴム「アドバンスポーツ」タイヤ開発秘話 欧州で鍛えた総合性能と、その未来像に迫る

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西:アドバンスポーツがプレミアムスポーツモデルへ純正装着され、その後、V103という商品として市場にもリプレイスタイヤとして導入されたわけですが、2005年以降は、さまざまな特徴をもったタイヤが各社から発売されました。優位性を保つためにどのような策を練っていたのでしょうか?

:ひとつはランフラットタイヤです。ランフラットタイヤとは、タイヤ側面を補強することで、パンクなどにより空気が抜けた状態でも変形を抑えることで一定距離を一定の速度で走行できる構造を持っています。万が一パンクしても、修理工場まで走行できるようにすることで、路上でのタイヤ交換作業による危険を解消するだけでなく、スペアタイヤが搭載不要になることで車両軽量化、車内外のデザイン向上に貢献します。

タイヤにおける総合性能の追求

西:そのほかの商品はありますか?

:欧州向けに特化したタイヤができました。2005年頃から、アドバンスポーツをグローバルフラッグシップにしようとする位置付けが社内でも始まりました。また、2009年には静粛性を高めた「ADVAN dB」(アドバン・デシベル)をアドバンブランドに加えています。これまでアドバンブランドはモータースポーツ色が強かったのですが、さらにプレミアムブランド方向にも育て上げたいという狙いがありました。

高い要望に応えるため、これまでの開発プロセスを一新して誕生したアドバンスポーツ「V107」
高い要望に応えるため、これまでの開発プロセスを一新して誕生したアドバンスポーツ「V107」(筆者撮影)

西:静粛性が高くてハンドリング性能が良い、ドライ路面/ウエット路面のいずれでもグリップ力が強いなど、相反する性能を実現することが自動車メーカーや消費者からは求められていますよね。

:我々は、ひとつだけ突出した性能をもったタイヤづくりを目指していません。タイヤに求められる総合性能を高い次元で達成するように開発してきました。また、モータースポーツシーンにおいてもご評価いただいているウエット路面とドライ路面で両立させているグリップ性能を、一段と向上させていくことも命題のひとつです。よって、「V105」(2013年発売)の後継モデルである「V107」(2022年発売)にいたっては、どれかひとつの性能を上げるのではなく、全体性能を向上させるため開発の手を緩めずに商品化を進めてきました。とはいえ、こうした相克する課題達成は、私が属する企画側からすれば市場優位性を確保するための必達条件ですが、実際にタイヤを開発する現場からすれば、「技術難易度が高すぎる。なにを言っているんだ!」と反対される部分でもあります。しかし、良いタイヤを創り上げることがお客様のためになるという信念のもと議論を重ね、企画、開発、そして製造の現場が一丸となって商品化にこぎつけています。

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