日本人には、相手の「好意」に期待してしまうところがあります。夏の暑い日に人が訪ねてきたら、「今日は暑いですよね」と言いながら、冷たい飲み物をそっと差し出す文化が日本には根づいています。
そうした習慣や考え方が身についているため、日本人には、人に優しくしたら、自分の期待値に見合うだけの反応を相手が見せてくれることを、心のどこかで勝手に求めてしまうところがあります。
相手に悪気がなくても、こちらが期待しているような反応を示してくれないと、何だか裏切られた気分になってしまうのです。
こちらが何も言わなくても、向こうが気を遣ってくれることに慣れていますから、相手に気の利かない対応をされると、「おもてなしの心がない」→「優しくない」→「嫌なヤツだ」と思ってしまいます。
損得勘定といったら少し極端ですが、自分の期待値を上回る反応を相手に求め、それが示されないと「損をした」と思い込んでしまうのです。
無意識に相手からの「見返り」を求めて、それを得られないと勝手に傷つき、相手を悪く思ってしまう……という経験を何度も繰り返していると、自己防衛として、できるだけ人のことに関わらないようになり始めます。
これが人に対する「無関心」を助長させて、「優しい人」を「優しくない人」に変えてしまうのです。
医学的にもいい影響がある
人は誰でも、体調や機嫌がいいときのほうが優しくなれます。
不安を抱えたり、何かに追い詰められていると、優しい気持ちにはなれません。風邪を引いたり、寝不足が続いて体調がすぐれなかったりするときには、人の気持ちを想像する余裕など、どうやっても持てないものです。
「優しい人でありたい」と思うならば、体調を管理して、メンタルを安定させることが最初の一歩となりますが、人間には不思議なシステムが備わっていることも知っておく必要があります。
人に優しくすると、セロトニンやオキシトシン、ドーパミンといった脳内ホルモンと呼ばれる神経伝達物質が分泌されやすくなり、たくさんのいい影響が生まれることが医学的にわかっています。
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