家族ごはん卒業50代で直面"ひとりごはん"の葛藤 料理家も感じた「難しさ」、たくさんの後悔も

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「いつもこんなにおしゃれで美味しいごはんを作っていてすごいです」

料理教室ではたとえ社交辞令でもそう言っていただくことが多く、そのたびに違う違う!と心の中で絶叫していました。「自分のごはんなんて適当ですよ」と口にしても、人様は信じてくれません。

「またまたご謙遜を!」と言われて、いちいち否定するのも面倒になりました。

そんな食の二極化は2、3年続きました。

まがりなりにも料理を仕事にし、料理教室では「栄養バランス」や「野菜をたっぷり」などエラソーに口にしていた自分が!です。

人間、責任感がなくなるとこうも堕落するのか、とリアルに体験しました。

そんな中、ときおり芽生える問題意識から自分の未来を想像してみました。

自分で気をつけない限り、自分のごはんは変わらない。他人から注意されることがなくなっていくのが、歳をとるということです。

ただ、間違いなく人間の体は食べたもので作られています。

そしてこれから先も、できれば心身とも健やかに生き抜きたいと思っています。

「自分を食べさせていく」へ

次第に「自分の未来のための食事」を意識し、「自分を食べさせていくこと」に取り組もうという思いが大きくなりました。

では、どうしましょう。どうやって自分を食べさせていきましょう?

同じような年代、環境の人はいったいどうやっているのか?と外に目を向けてみて、打ちのめされたのです。

インスタグラムや雑誌の「手間暇をかけたていねいな暮らし」や「健康を意識した手作り生活」ばかりが目に入り、そのおしゃれすぎる暮らしぶりやマメさに圧倒されました。

そんな生活に強く憧れ、生まれ変わったら絶対にそんなことができる人間になりたいと思いますが、私には無理です。というか、そもそもできないし続かない。

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