実写化に賛否【推しの子】案外期待できそうな訳 グローバルプラットフォームと組む大きな利点

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

今回の『【推しの子】』の場合、コミックは累計1500万部の売上を超えているほか、アニメは日本だけでなく複数グローバルプラットフォームで世界配信されヒットしており、すでに実写版の世界的ヒットの素地がある。実写化権利の争奪戦があったことが予想されるが、そこで国内メディア単独での勝ち筋はなかっただろう。

これからはグローバルプラットフォームと国内メディアのタッグによる配信ドラマ&映画、ステージなど複合的な実写化プロジェクトが一般的になっていくに違いない。

アマゾンのプライム・ビデオと東映によるタッグでは、西島秀俊が主演し、白石和彌監督が演出を手がけ、成人向け18+指定で世界配信されたドラマ『仮面ライダーBLACK SUN』(2022年)が記憶に新しい。子ども向けだった1987年のテレビシリーズに、政治ドラマの要素を交え、凄惨なシーンも含むマイノリティの視点からの大人向け人間ドラマに昇華させて、高い評価を得た。

そんなタッグによる実写化プロジェクトであることも、今回の『【推しの子】』への期待が高まる理由のひとつだ。

配信ドラマと映画のアウトプット戦略

もう1つ気になるのは配信ドラマと映画のアウトプット戦略だ。

オーソドックスなパターンとしては、アニメでインパクトがあった1時間20分の第1話を映画にし、続きをドラマで配信することが考えられる。しかし、それでは映画が配信ドラマと連動するメリットが薄い。

そうなると、アニメ『鬼滅の刃』のパターンのほうが有力だろう。ドラマ先行で話題を広げ、配信終了直後に映画版を公開し、ユーザーの関心を劇場へつなげる。または、配信ドラマを2部または3部に分け、その合間に映画版を挟み込む。1本のストーリーを両メディアでクロスさせながら進行させ、映画版の導入にフックを設ければ、ユーザーが遷移しやすくなるだろう。

同時に、映画で見ることの必要性をしっかり示す必要がある。ユーザーに配信で全部見たかったと思われたら意味はない。映画館の大スクリーンで上映すべき映像的迫力や音響を楽しめるシーンを映画版でやるといった戦略も必要になるだろう。

いずれにしても、アニメ版とは異なる配信ドラマ&映画ならではの【推しの子】体験を打ち出してくることは間違いない。ファンはいま、どんなものを見せてくれるのか、満足させてくれるのか、という期待と不安が入り混じっているだろう。

アマゾンのプライム・ビデオと東映のタッグには、期待値を大きく上回る作品を作り上げるポテンシャルがある。まずは映像第1弾を楽しみに待ちたい。

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事