実写化に賛否【推しの子】案外期待できそうな訳 グローバルプラットフォームと組む大きな利点

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人気漫画やアニメの実写化の成否は、実写キャラクターのオリジナル再現度による部分は大きい。思い入れのあるキャライメージと違えば、ファンは反感を抱く。

今回の実写ビジュアル第1報とともにSNSにあふれた賛否コメントでは、否のほうが多かったように感じる。

推しの子 実写化
【推しの子】ビジュアルカット(写真:公式サイトより引用)

しかし、今回の第1弾ビジュアルはまさにイメージカットだ。今後、反響を踏まえた調整が入るかもしれないし、人が演じるときには雰囲気や立ち居振る舞い、所作など醸し出すオーラによって、その印象は大きく変わる。メイクや衣装の装飾プラス、役者の力量によって体現されるキャラクター造形の評価は、これからでいいだろう。

高い評価を受けている実写版も

これまでの実写化で振り返ると、連載中の人気漫画を映画版オリジナル脚本による2部作での実写化を掲げ、監督交代など紆余曲折を経て完成させたものの、キャラクター設定も独自ラストもあまりにもひどく大惨事となった大作も過去にはあった一方、近年は『るろうに剣心』や『キングダム』『東京リベンジャーズ』など、キャラクター再現度のほか、ストーリーや映像演出も高く評価され、シリーズ化されている作品も多い。

また、Netflixのハリウッド実写版『ONE PIECE』は日本人が演じていないが、日本を含め世界的に高い評価を受けている。

『【推しの子】』も日本で受け入れられることが大前提だが、その先の海外での評価も視野に入れれば、見た目のビジュアルはキャラクター造形の一部であり、人間像としていかにキャラクターに近づけるかが重要になってくる。

そして、まだスタッフが公表されていないが、実写化の大きなカギを握るのは脚本家だ。生まれ変わりのファンタジーがベースにありながら、アイドル界のリアルな裏側のドロドロした人間関係の猥雑な醜さとおもしろさにあふれる、母の死の真相に迫るサスペンスフルな骨太の物語を、実写ならではの演出を交えてどうまとめ上げるか。

監督も含めたメインスタッフの発表もまた話題になりそうだ。

武井 保之 ライター

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たけい・やすゆき / Takei Yasuyuki

日本およびハリウッドの映画シーン、動画配信サービスの動向など映像メディアとコンテンツのトレンドを主に執筆。エンタテインメントビジネスのほか、映画、テレビドラマ、バラエティ、お笑い、音楽などに関するスタッフ、演者への取材・執筆も行う。韓国ドラマ・映画・K-POPなど韓国コンテンツにも注目している。音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク系専門誌などの編集者を経て、フリーランスとして活動中。

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