派閥全廃できず自民「中間とりまとめ」に批判噴出 「政治改革」国会スタート、与野党攻防激化へ

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これに先立ち、安住氏は日本維新の会、共産、国民民主各国対委員長と会談し、野党4党共通の立場として自民に要求することを確認。安住氏は記者団に「裏金を受け取った議員が委員長や理事をしているところで質疑をするのは無理だ」と強調。「居座るなら、その委員会で参考人質疑や証人喚問を要求する」と語った。

自民執行部は、まず衆院予算委の理事を24日付で安倍派の越智隆雄氏から茂木派の橋本岳氏に24日付で差し替え、他の委員会でも同様の措置を進めた。25日には安倍派幹部で参院幹事長を辞任した世耕弘成氏の後任には松山政司参院議員副会長を、さらに同国対委員長には石井準一参院議院運営委員長をそれぞれ昇格させることを決めた。 

小渕優子氏らの退会で茂木氏の求心力低下も

そうした中、自民4役の一人の小渕優子選対委員長は25日、所属する茂木派を退会する意向を表明した。同氏は同派の前身である小渕派の領袖だった小渕恵三元首相(故人)の次女で、将来の同派会長や首相候補と目されていた。

さらに、「参院のドン」と呼ばれ、同派の参院勢力を取り仕切っていた青木幹雄・元参院議員会長(故人)の長男の青木一彦参院議員も同派を退会する意向で、同派幹部の間では「ポスト岸田を狙う茂木氏の求心力低下につながる」との不安が広がる。

いずれにしても、実質的な派閥活動を継続する構えの麻生、茂木両派も、同党が決めた「とりまとめ」を踏まえれば。麻生、茂木両氏をはじめ党・内閣の要職にある幹部らは「派閥離脱」を義務付けられる。その場合、「どのような体制で派閥活動を続けるかに国民の厳しい視線が注がれる」(若手)ことになり、次期国政選挙をにらみ、櫛の歯が欠けるように離脱議員が相次げば、「改めて存在の可否が問われる」(自民長老)のは避けられそうもない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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