またしても「人工地震説」なぜデマは"増殖"するか 全世界「選挙イヤー」に忍び寄る本質的な危険

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今年は11月のアメリカ大統領選や3月のロシア大統領選が控えるなど、世界50カ国以上で国政選挙や地方選挙が実施される「選挙イヤー」になるといわれている。また、依然としてイスラエルとハマスの衝突、ロシアによるウクライナ侵攻、中国の影響工作が危惧される台湾情勢など、さまざまな懸念材料が現在も進行中で予断を許さない。

ネットによる国内外の影響工作は増大する

自然災害関連では、火山の噴火や地震、または台風や水害、山火事等々といった地球温暖化が原因と思われる大規模災害の続発が危ぶまれている。ネットによる国内外の影響工作はますます増大し、フェイクニュースを含む偽情報は、自尊心を奪われ、不当な地位に置かれていると感じている人々の心の隙間にいとも簡単に入り込むことだろう。

だが、国や公的機関による統制を期待するのは現実的ではない。なぜなら、究極的には国や公的機関、ひいては主要メディアにとって触れられたくない情報はつねに存在しているからだ。暴露された事実を過小評価する情報で覆い尽くしたり、偽情報として規制する可能性はいずれの国においても起こりうる。結局のところ、民意を蔑ろにされていると考える国民が多数を占める状況を変えていくことが根本治療となる。

当然ながら既存の政治体制に対する信頼性や、国内の人々の生活が改善され結束が強くなれば、相対的に偽情報の影響力は低下するからである。けれども、わが国の政権与党の裏金騒動や今回の地震対応への批判の高まりを見ると、爆発寸前の状態にある不満や不安が沈静化するようには到底思えない。そこに訪れるであろう、妖しい魅力を振りまく未来のフェイク爆弾は、発信する者と規制する者の双方の欲望を照らし出すと同時に、わたしたちのいびつな心象をも赤裸々に映し出すのである。

(*1)「血のりで演出」「スマホケースで刺した」 フェイクニュースが氾濫する共に民主・李在明代表襲撃事件/2024年1月5日/朝鮮日報
(*2)【検証】「ゼレンスキー氏がヨット購入」 親ロ派の流言はいかに米軍事支援に影響したか/2023年12月27日/BBC
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真鍋 厚 評論家、著述家

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まなべ・あつし / Atsushi Manabe

1979年、奈良県生まれ。大阪芸術大学大学院修士課程修了。出版社に勤める傍ら評論活動を展開。 単著に『テロリスト・ワールド』(現代書館)、『不寛容という不安』(彩流社)。(写真撮影:長谷部ナオキチ)

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