"脱造船"で復活、三井E&S「クレーン事業」の凄み 港湾クレーンで世界シェア2位、脱炭素で受注増

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こうした技術は、造船業から橋梁、クレーン事業に業容を拡大していく中で培われてきた。

旧三井造船は1917年に三井物産造船部として岡山県で発足し、日本初のディーゼルエンジン搭載の「赤城山丸」を建造するなど、造船業界で存在感を示した。

クレーン製造はすでに1930年代から始め、1960年代には当時世界最大の港湾クレーンメーカーであるアメリカのパセコ社(1988年に三井物産と共同で子会社化)と技術提携し、1967年に日本初のコンテナクレーンを神戸港に納入している。

「鉄板を扱う造船技術、橋梁製造の技術がとくに生きている。数をたくさんつくってきたことで、ノウハウが蓄積し、工場もクレーンに特化してライン化できている」と市村氏は言う。

港湾クレーンでは目下、運転作業員がより操作をしやすい仕組みの開発のほか、部品や交換点検などアフターサービスの強化に取り組んでいるという。

三菱重工業に譲渡した岡山県玉野の艦船工場。右奥に三菱のロゴが見える(写真は2021年、編集部撮影)

脱炭素に対応し、使用する軽油を半分以下に

一方、ディーゼルエンジンで動くトランスファークレーン(RTG)には脱炭素化の波が押し寄せる。

三井E&Sは2007年、ディーゼル発電機に加えてコンテナを巻き下げる際に発生する電気を回収して蓄電し、巻き上げる際の動力として使うハイブリッド式のクレーンを導入した。使用する軽油は1時間あたり10リットルと、従来型の半分になった。

現在ではほぼ電気だけで動くレジスエクステンダー型(バッテリーへの給電のためだけにディーゼルエンジンを使う)も登場し、1時間あたり8リットルまで軽油の使用を抑えている。この先には水素燃料電池式の「ゼロエミッション型」の実用化が目前に迫っている。

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