身体の緊張状態を自在にコントロールする方法 トップアスリートは"脱力スキル"を駆使している
これらのことは、素早く動いたり、強烈なパワーを発揮したりする際には、その前提として脱力の“スキル”が必要だということを表しています。
「スキル」と表現するのには意味があります。なんでもかんでもとにかく脱力すればいいということではなく、必要なときに自分で脱力をコントロールするための技術、だから「スキル」なのです。
スキルなので、しっかりトレーニングすれば必ず向上します。
「力を入れるべき部位」と「力を抜くべき部位」がある
少し視点を変えてみます。コーチから「もっと力を抜け」と言われたとき、抜こうとしたのにうまく抜けなかったり、力を抜くと大きなパワーが出せないのではという疑問を持ったことがある人も多いのではないでしょうか。
うまく脱力できることと高いパフォーマンスを発揮できることには深い関係があります。
一方で、脱力のコントロールは簡単ではありません。ここは特に重要なのですが、いくら力を抜こうとしても力は抜けるものではありません。力を抜くためには、まず「力を入れるべき部位」に入れなければならないのです。この部位がしっかり働いてこそ、力は適切に抜くことができるので、「力を入れるべき部位」と「力を抜くべき部位」をきっちり整理しておく必要があります。
実際のところ、入れるべき部位には入らず、抜くべき部位が力む、という逆転現象が起こっていますので、しっかり覚えてください。
重力がかかる環境で身体を支え、効率よく動くために、力を入れるべき部位と抜くべき部位はある程度決まっています。
次の図は、身体の機能性を最大限に引き出すための、力を入れるべき部位と抜くべき部位を表しています。
入れるべき部位のほとんどは、重力に逆らいながら身体を支えつつ、スムーズに動く、そして力の伝達ロスが最小化するために必要な部位です。
そして、これが大事なことですが、入れるべき部位に力が入っていれば抜くべき部位の脱力スキルは着実に向上します。
パフォーマンスに問題を抱える選手は、この抜き入れのバランスが崩れていることがとても多いのですが、脱力トレーニングによって適切なバランスになっていきます。
なお、図で挙げた分類はほとんどの競技に共通しています。抜くべき部位の筋肉に力を入れて、入れるべき部位に入れずにハイパフォーマンスを出せる競技はほぼないといっても過言ではありません。
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