これに先立ち二階派も同日夕の臨時総会で、「派閥解散」を決定。二階会長が記者会見で、「政治への信頼を取り戻すために解散するとの結論に至り、所属議員の了承を得た」と無念さにじませながら頭を下げた。
一方、立件対象から外れていた第2派閥・麻生派と第3派閥・茂木派では、「派閥解散への慎重論」が渦巻いた。領袖の麻生、茂木両氏は、19日午後に岸田首相とそれぞれ個別に会談した中で「人材育成や党の円滑な運営のためにも派閥が必要」と伝え、岸田首相も基本的には各派閥の判断を尊重する考えを示した。
麻生氏は「派閥存続」、茂木氏は迷い、森山氏は追随?
その際麻生氏は、「事件は違法な政治資金処理が原因で、きちんと対応していれば問題はない」と主張したが、「根底には岸田首相への不信感が芽生えたことで、今後も大派閥領袖としての影響力維持を狙うためだ」(自民長老)とみられている。その一方で茂木氏も「“ポスト岸田”での総理総裁を目指すためにも、自派閥の維持・拡大が必要」(同)との立場だが、幹事長だけに「党内の動向次第」(茂木派幹部)の側面もある。
その一方で、第6派閥(8人)の森山派会長である森山氏は20日、地元鹿児島市で記者団に対し、自民党が25日にも決定する政治刷新本部の「中間的取りまとめ」に言及し、「党で議論が始まっており、その経過も見ながら決めたい」と語り、その内容次第で派閥の存廃を判断する考えを示した。
こうしたことから、今回の「派閥解散」問題は、なお自民党内でさまざまな混乱を引き起こすことは避けられそうもない。ただ、「保守本流」の中核として約67年の歴史を持つ名門派閥・宏池会とともに、自民党最大派閥として「権力をほしいままにしてきた」(無派閥若手)の安倍派(清和会)も約45年の歴史に終止符を打つことは、「自民党の派閥政治の大きな変質」(自民長老)につながることは間違いない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら