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「旧式」装備を大人買いする防衛省の無責任さ 無反動砲に見る「ずさんな装備調達」の実態

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このようなずさんな装備調達を行っているのはカールグスタフの例だけではない。

対戦車ヘリAH-1Sも同様だ。アメリカ陸軍が1984年から新型のAH-64Aを導入しているのに、その2年前からすでに旧式化しているAH-1Sのライセンス生産による調達を始めている。しかも調達単価はアメリカ軍の5~6倍も高かった。

その後継の戦闘ヘリAH-64Dも同じだ。アメリカのボーイング社がラインを閉じる寸前に採用を決定し、富士重工(現スバル)が国内生産した。アメリカ軍が調達をすでに終え、近い将来ボーイング社が調達を中止することがわかっていた。

数千億円規模の調達が「口約束」で行われていた

それでも予定の62機を一括して発注すればボーイング社のラインは維持されただろう。だがこれもずさんな調達計画で漫然と単年度でしか発注せず、生産は中止された。結果、AH-64Dは調達予定数62機に対し、わずか13機(2002~2007年度)で調達が打ち切られた。

このとき、すでに62機を生産する予定でライセンス料やライン構築の費用などを払っていたスバルはそれを最後の3機に乗せて払ってくれと防衛省に請求したが、そんな契約はないと防衛省側が突っぱねて訴訟となり国は敗訴している。

数千億円規模の調達が、実は事実上計画がなく、まともな契約も結ばれずに「口約束」で行われていたのだ。普通の軍隊は調達数、調達期間(戦力化)、総額を明示し、議会で予算を承認されてメーカーと契約を結ぶが、いまだに防衛省はこの普通の契約ができない。これは極めて異常だ。

これらのことから装備庁と陸幕には装備調達の当事者意識と能力が欠けていることは明らかだ。このような無責任な体制のまま、防衛費をGDP比2%まで上げて、はたして国民の理解を得られるのだろうか。

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