「旧式」装備を大人買いする防衛省の無責任さ 無反動砲に見る「ずさんな装備調達」の実態

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陸幕は岸田内閣の防衛費増大によって、生産終了寸前の「旧式」装備をわざわざ大人買いしたことになる。毎年少数しか調達しない、まして5年間も調達を停止するほど優先順位が低いのであれば、M4の生産開始を数年待っても何の問題もなかったはずだ。

カールグスタフM2。豊和工業がライセンス生産していた(写真:陸上自衛隊)

関係者へ取材したところ、サーブ社はM3のラインを閉じてM4の生産に専念したかったとみられる。メーカーとしては当然だろう。ところが陸幕から懇願されてM3ラインの廃止を先延ばしにしたもようだ。

すでにアメリカ軍やオーストラリア軍などはM4に調達を切り替えている。ラトビアとエストニアは共同で2022年にサーブ社へM4を発注し、2021~ 2024年にかけて納入される。時代は電気機関車に移っているのに蒸気機関車を調達するようなものだ。

急転換した調達計画

だが、防衛省は昨年末になってこうした調達計画を急に転換した。

2024年度の防衛予算概算要求ではM3が要求されていたが、2023年12月に閣議決定された防衛予算政府案で、調達をM3からM4に変更したことを筆者の質問で認めたのだ。来年度はM4導入のため調査費1.2億円に加えて、M4が174門と火器管制装置が19億円で調達されることとなった。

本来なら調査をしてから翌年以降に調達が決定されるのだが、調査と調達を同時に行うのは極めて異例であり、これは何らかの混乱があったからだろう。陸幕に対して内部部局から圧力があったと筆者は聞いている。

今後、部隊では2種類のカールグスタフが混在することになり、訓練や兵站は二重になり非効率だ。しかもM4で使用する空中炸裂弾はM3では使用できない。

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