1カ月で5%痩せた高齢者「低栄養」が恐ろしい訳 半年で10%減も注意、BMIと併せてチェックを

✎ 1 ✎ 2
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

もしも低栄養であったなら、医師の診療を受けながら、管理栄養士から栄養障害の治療となる指導を受けて食生活を見直し、なるべく早く低栄養から脱出しなければいけません。

高齢期には病気やけがで治療が必要になることが増えます。低栄養の状態では「なりやすく、治りにくい」と同時に、治療によって生じる体への負担(「侵襲(しんしゅう)」と呼びます)をともなう場合には治療の継続が困難と判断され、十分な治療ができない場合もあります。

簡単に言うと「栄養状態が悪いから、とても手術には耐えられない」といった判断になることがある、ということです。治療ができても、低栄養状態の人は侵襲のダメージが出やすく、予後がよくありません。

太ったまま年をとると「サルコペニア肥満」の危険大

一方、過栄養の危険について判断するのは難しく、さまざまな研究で、75歳以上の人の場合、BMI判断基準では肥満とされる「25以上」の人が長生きするという結果も出ているため、持病の有無や病状によって個別に適切な減量・筋肉増強・栄養ケアを行うのが望ましいです。

100年栄養
『100年栄養』(サンマーク出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

というのも、先にご説明した、太ったまま高齢になり、筋力が低下してしまった状態の「サルコペニア肥満」では、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、冠動脈疾患、脳血管障害、脂肪肝といった生活習慣病をすでに合併していることが多いからです。

しかし、しっかり栄養をとりながら、体重を落として脂肪細胞を減らしていけば、こうした生活習慣病に関係するホルモン分泌などが変わり、栄養状態と病状の両方を改善していくことができる場合があります。

まずは標準体重まで減量できなくても、現体重から3%以上の減量を目標にし、筋肉を維持・増強しながら達成しましょう。それには個別対応がどうしても必要になります。

川口 美喜子 医学博士、大妻女子大学家政学部教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

かわぐち みきこ / Mikiko Kawaguchi

専門は「病態栄養学」「がん病態栄養」「スポーツ栄養」。島根大学医学部附属病院で栄養管理室長を務め、NST(栄養サポートチーム)を立ち上げるなど、“食事をとおした治療”に積極的に参加。現在は、大学で後進を育てながら、地域医療のパイオニアである「暮らしの保健室」(東京都新宿区・江戸川区)や、がん患者とその家族が訪れるマギーズ東京(東京・豊洲)などにて、栄養指導、栄養ケアを行う。病気や日々の暮らしに問題を抱える多くの人のために、卓越した栄養学の知識を具体的な食事に落とし込んで支援している。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事