65歳以上の「食べられない」を軽視できない理由 BMIをまめに確認、食べる機能の老化にも注意

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「食べられない」はさまざまな理由で起こるといいます(写真:buritora/PIXTA)
人生100年時代に突入して、1人の人が生涯に「食べる」回数は人生50年、80年時代に比べて数万回増えました。その人生の終盤には栄養が足らない状態に気をつける必要があります。気にしておきたいのはBMI。そして高齢者が食べられなくなる原因や対処法とは?
高齢者栄養ケアの第一人者が “長生きする食べ方”を解説した『100年栄養』より一部抜粋、再構成してお届けします。

1日1回は必ず体重計にのるクセづけを

BMIとは肥満度を表す指標として国際的に用いられている体格指数で、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で求められます(身長はcmではなくmで計算します)。

65歳以上は21.5未満を「痩せ」、25以上を「肥満」とします。通常私は健康全体のことを考え、BMIは「50~64歳では20.0~24.9、65歳以上では21.5~24.9の範囲をめざす」を基準に栄養ケアをしています。

ただしBMIだけで評価せず、体調(元気さ、睡眠、排泄などを含める)がよく、6カ月~年単位でBMIの変化がほとんどない場合には心配しすぎることはない、と考えます。

たとえば、Aさん(72歳女性、身長156㎝)は60代からBMIが20.5~22.6の間で安定していて、お元気です。定期的に健康診断を受けていて、いまのところ歯科、眼科、整形外科には通院していますが、内科の持病はありません。

朝、起きたときにちゃんとお腹が空いていて、ほぼ欠食せず、毎日3回ごはんを食べていて、地域のお仲間と体操やグラウンドゴルフを続けています。BMI20.5は「痩せ」に入りますが問題なし、です。体重でいうと、50~55㎏の間で落ち着いているので、特別な助言はせず、経過を見守っています。

Bさん(76歳男性、身長159㎝)は8年前に一大決心をしてダイエットし、7㎏減量を達成しました。以降、大きなリバウンドもなく、BMIは24.5~26.5の間で安定していて、やはりお元気です。血圧がちょっと高いので、服薬治療をしていますが、毎朝・晩の血圧測定も続け、薬でコントロールできています。

ごはんが大好きで、つい食べすぎてしまうこともあるのですが、町会活動やウォーキングで体を動かすなど、健康づくり全般に気をつけているので、コロナ禍でも体重が大きく増えることはありませんでした。BMI26.5は「肥満」に入りますが問題なし、です。体重でいうと、62~67㎏の間で落ち着いています。

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