65歳以上の「食べられない」を軽視できない理由 BMIをまめに確認、食べる機能の老化にも注意
嚥下の機能が低下し、誤って気道に唾液や食べ物が入るのは「誤嚥(ごえん)」です。誤嚥は、高齢の人が命を落とす病気、誤嚥性肺炎の原因として、ご存知の人も多いかもしれません。
高齢社会になって、誤嚥性肺炎がクローズアップされ、「食事中にむせたら危ない」と注意する人が増えました。確かに、むせるのは誤嚥を防ごうとする体の反射ですから、むせが頻繁に出るようになったら、嚥下機能が衰えているサインと言えます。
摂食〜嚥下のあらゆる機能を「しっかり使う」
ただし、一般的には誤嚥(嚥下機能の低下)より先に、摂食機能の低下が目立つことが多いです。はじまりとして多い症状は「硬いもの×」。食生活が「柔らかいもの」に偏っても、別の物が食べられるうちは〝問題〟とは思われにくいのです。
肉や野菜を食べないでいると、嚙む力はさらに弱くなり、次々と好物が食べられなくなることで、食欲低下や低栄養、ひきこもり、孤立といった問題に発展することもあります。
予防のためには毎日、摂食~嚥下のあらゆる機能を「しっかり使う」が大切!
私が栄養ケアで関わっている歯科では、嚙む力が衰えたお年寄りに「黒豆の入ったおせんべい」を出して、嚙みしめる練習をしてもらっています。
嚙めないから柔らかいもの、ではなく、嚙む力を取り戻す練習をする。おいしいおせんべいだと、みなさん食べたくて、頑張って食べます。黒豆の皮が歯間にはさまったりして、難易度は高いけれど、おいしくて、みんなが一緒だと案外、食べられてしまう。
ギブアップする人には別の方法を提案しますが、練習できる人には、疲れない程度に、ゆっくり嚙みしめてもらっています。
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