「カラオケまねきねこ」苦境から華麗に復活した訳 コロナ禍の真っ只中に虎視眈々と「仕込み」
コロナ禍によるダメージが確定的になった、2020年8月期の鳥貴族の決算説明会資料を見ると、この会社のコロナ禍に対する認識と対応方針が明確に示されている。コロナ禍は一過性のものであり、居酒屋という文化自体が廃れてしまうことはない、ということを前提として戦略を構成している。
店舗網の見直しは継続的に実施してきたため、一過性の環境変化に対して、閉店を実施することはしない、と明言している。また、感染対策、テイクアウト強化等の対症療法も実施しつつ、新業態開発と従業員の独立のための新たな制度設計を行うとした。
1000店舗を超える居酒屋チェーンに
注目すべきは、こうした危機の時期にありがちな、店舗閉鎖と従業員削減という対症療法を否定し、今後、優秀な従業員がフランチャイズの加盟店として独立して、グループ内で社長となることを応援する、という方針を内外に示したことは、驚きに値すると言ってもいいだろう。
そして、コロナ禍の出口がまだまだ見えない2022年9月、鳥貴族は「やきとり大吉」をフランチャイズ展開するダイキチシステムズをサントリーから譲り受けて、子会社化することを発表した。
やきとり大吉の店舗数はこの時点で600店舗超であり、これにより、鳥貴族は1000店舗を超える居酒屋のトップチェーンとしての地位を確立するとともに、サントリーの外食事業の整理を手伝うことで、ビールメーカーに恩を売ること(サントリー供給先の維持に協力。サントリーは鳥貴族の仕入先、2%出資の株主でもある)に成功したのである。
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