名古屋「味噌煮込みうどん」香港で大成功のワケ 「大久手山本屋」香港1号店は1日600人が訪れる

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名古屋は外国人観光客が少なく、英語や中国語表記のメニューを置いている店も少ない。しかし、GoogleマップやFacebookなどの口コミを見て来店する外国人の客もいるのは間違いない。当時、「大久手山本屋」には、中国や韓国、インドネシア、マレーシア、タイなどから来た観光客が訪れていた。

「大久手山本屋」5代目で専務取締役の青木裕典さん(右)と弟でうどん職人の晃佑さん。裕典さんがマネジメント、晃佑さんが調理と兄弟でそれぞれ役割を分担して海外進出を実現させた(写真:大久手山本屋)

ムスリム(イスラム教徒)向けに店が情報を公開

青木さんは英語や中国語表記のメニューを用意したのは言うまでもなく、開店までの時間を利用して、外国人観光客向けにうどんの手打ちが体験できるイベントを企画、開催した。自分で打った麺を食べることはもちろん、別料金で天ぷらやおでんなどのサイドメニューやお酒も注文可能にした。これが好評を博して、昼や夜の営業よりも多く売り上げたこともあった。

さらに2019年からは、ムスリム(イスラム教徒)向けに店が情報を公開し、食べられるかどうかはムスリム自身に判断を委ねる「ムスリムフレンドリー」という考えを用いてムスリム対応のメニューも提供した。

今でこそムスリム対応の店は少しずつ増えているが、当時はインドカレーの店くらいしかなく、ネットや口コミで評判は広がった。月に約600人のムスリムが訪れるようになり、今でもその数をキープしているという。

「おかげで4代目に香港への出店の話を切り出しても反対はされませんでした。海外進出は香港のゴーゴーフーズの宮松社長ともう一人、『世界の山ちゃん』を運営するエスワイフードの創業者の故・山本重雄会長からも大きな影響を受けました」(青木さん)

青木さんは山本会長に指導を仰いだことがあり、それがちょうど「世界の山ちゃん」がタイ・バンコクにオープンした頃だった。その際に
「名古屋のいろんな味を世界に伝えたい。オレ、山本だから山本屋をやらせてくれ」と、山本会長に言われたことが忘れられなかった。そして、夢が実現しないまま山本会長は亡くなった。それが青木さんにとって海外進出のモチベーションのひとつとなった。

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