4人でランチに行くことは頻繁にあったが、暗黙の、そして明示的な上下関係があり、シャンティやジェニファーは、ランチのときでも、僕やアンディーと背反する意見は言い難かったと思う。
ハワードはホワイトボードを背にして、長い机の端の「お誕生日席」に座っていた。当日の議題がプリントされたものが人数分用意されていた。
会議室にはいつもと違う、微妙な緊張感があった。
「ミーティング中は全員この部屋に最初から最後までいられますか」
「携帯電話はいまオフにしてください」
「僕が質問をして、それに対して、みんなでディスカッションしてもらう。ときには僕がアイデアを出すこともあります」
ハワードは当日のルールや進め方をひとしきり説明し、議題を読んだ。
議題に対して質問があるかと聞かれ、僕は一読したが、ちんぷんかんぷんだったので、「まあ、いいでしょう」といった感じで適当に頷いた。
ハワードは、一通り全員の顔を見ると言った。
「では、スタートしよう。この9時間、何も起こらなかったら最悪だ。最初の質問は『このミーティングが終わったときにどんな成果を上げることを期待しているか?』それを、まず手元の紙に書いてから発表してくれ」
期待? 正直、特にない
う〜む。僕は呼ばれたから来ただけだった。なのに、いきなり最初から、何かしなければいけないことになってしまった。
期待? 正直、特にない。ただし、これで何も起こらなかったら僕にとっても最悪だ。当時どんな期待を書いたかは忘れてしまったが、この期待を書くことで、僕の少なくとも当日9時間の目標設定ができた。
STRATEGIC WORKSESSION
November 18. 1999
10:00-19:00
《目的》
調和のとれたマネジメントチームとして、計画し、コミュニケートし、実行することにより、本チームの目標とする成功をもたらし、顧客と私達自身を満足させるためのフレームワークを決定する。