ん? 確かにそうだ。1人ずつ書かずに口頭で発表していったら、2、3人目からは「僕もそうなんですけど……」といった意見が出ておかしくない。少なくとも他の人の意見に左右される可能性は否めない。
この説明のしかた、つまり普通だったら、「紙に書いてから言うと、人の意見が入らないメリットがあるので、紙に書いてから発表してください」とやるところを、まずやってもらってから(体験してその中に入ってもらう=紙に書く)、そのメリットに関して質問する(疑問が起こって、答えを探そうとする)。
深い洞察のアイデアを提供する(紙に書いているときは人の意見が見えない)。
この手順でやると、納得というか、落とし具合がとてもすとんと入る。
要約すると、下のようになる。
Bのやり方……〈実体験〉→〈質問〉→〈洞察の提示〉
Bのほうが手間はかかるが、納得度は高い。彼は、ことあるごとにこのやり方で、彼の洞察を僕らにインストールしていった。
全員が発表し終わると、ハワードは、
「各自、その期待が会議が終わった9時間後に手に入っていたほうがいいと思うのだが、では、この会議室の中でそこに書いた期待が手に入るかどうかは、誰がカギを握っているか?」
という質問を参加者に投げかけた。
「それは僕やアンディーや司会をやっているハワードだろう」と僕は思っていたのだが、シャンティは「自分自身です」と言いやがった。
僕は彼の答えに「?」と思ったのだが、そういう覚悟で会議に参加したほうが、たしかに成果は出やすいと思った。
会議が始まって最初の数十分の間になにが起こったかというと、
・経営の中心となるメンバーが緊張感を持ってそろった(ランチでなく)
・人の意見を気にすることなく、それを発表するしくみを手に入れた
・参加させられている(特に僕)という感じから、「なにかやってやろう」という気分になった
それも、自分自身が一番それに貢献できるという感じで、後にコーチになって感じるのは、この3つは多くの経営者が望んでいて、それが思うほど手に入っていないのだが、なんと数十分でこれが手に入ってしまった。
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