はやみねかおるが「意地でも伝え続けたい」こと 作家の原点は生徒からの「おもしろくない」

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――子どもの素直さは今も昔も同じだと思いますか?

子どもは素直だと思いますが、同時にずるいし、嘘もつきます。それは今の子どもたちも変わらないのではないでしょうか。ただ、嘘のつき方が下手ですね。だから上手な嘘のつき方を、大人が教えてあげなくてはいけないと思います。子どもたちが下手なのは練習をしていないから当然なんです。大人が下手なのが問題です。

下手な嘘とは何かというと、テレビでよく見る政治家の発言なんかが典型ですね。「私はもう嘘はつきません」なんて言っている大人もいますが、あれが悪い見本です。子どもたちは「嘘はよくない」と教えられていますが、それはちがう。本当は「下手な嘘はよくない」のです。

上手な嘘のつき方を

実例としてアメリカでこんな話があります。あるマジシャンが大きな劇場で満員のお客さんを前にマジックをしていました。舞台袖でスタッフがそわそわしているなと思ったら「火事。お客さんを避難させて」とメッセージボードが出てきた。けれどマジシャンは慌てずに、「今からクライマックスの特別なマジックをお見せしましょう。消防署から消防車を1台消してみせます。しかし消防車をこのステージに上げるのは難しいので外に用意しています。さあみなさん、外に出てみてください」と言う。

お客さんは「どんなマジックが行なわれるんだろう」と思いながらぞろぞろと外へ出て行くと、本物の消防車がありました。火事ですから当然ですね。こうして誰もケガすることなく無事に避難できました。これが「上手な嘘」です。大人は「嘘をつかないことが正義」と考えていますが、そうではない。一番大事なのは命を守ることです。

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