JT苦節5年「王者アイコス」へ繰り出す下克上戦略 加熱式たばこの最新モデルを28市場へ怒濤展開

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設計ではメカの印象でなく自然になじみ、所有欲を満たすデバイスを目指したという(記者撮影)

たばこ大手のJTが、社運を懸けた勝負に出る。欧州各国で加熱式たばこの市場が急速に広がる中、「PloomX(プルームエックス)」のグローバル展開を推し進めている。2023年から積極的な市場開拓をスタートさせた。

先行するのはアメリカのフィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)の「IQOS(アイコス)」。加熱式の世界最大市場である日本で高いシェアを握り、イタリアでは加熱式=アイコスの図式となっている。ユーザー数は2740万人(2023年9月)で、同社では加熱式を含む煙の出ない製品が、売上高の3割超を占める。

JTは紙巻きたばこを収益源とするが、将来的には市場が加熱式などへ置き換わっていく可能性もある。成熟市場の紙巻きは事業の効率化を進めつつ、成長期待の加熱式へ集中投資していく方針を掲げる。2024年末までに計28カ国・地域でプルームXを投入する計画だ。加熱式では後発からの巻き返しとなるが、世界市場で勝つ秘策はあるのか。

欧州では認知度ほぼゼロ

プルームXは2022年に主要市場の1つであるイギリスに投入。2023年は4月のイタリア、リトアニアを皮切りに、5月にポルトガルへと拡大。その後もチェコ、スイスなど着々と広げて計13市場へ投入してきた。

JTが選んだのは、後発の王道とも言える戦略だ。競合が進出して一定程度、加熱式の普及が進んだマーケットを軸に進出を決めている。デバイスとスティックを用いる加熱式の特徴を、いちから消費者に説明する宣伝コストが必要ないからだ。たとえば、たばこ市場における加熱式のシェアはイタリアが16%、リトアニアは27%(2022年平均、JT推計)にのぼる。

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