黒字定着の医薬事業から撤退、JTは「たばこへの経営資源集中」で巻き返せるか

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5月7日に医薬事業からの完全撤退を発表したJT。売却する傘下の鳥居薬品については、アクティビストから親子上場に対する批判もあった。写真左からJTの嶋吉副社長、塩野義製薬の手代木社長、鳥居薬品の近藤社長(記者撮影)

「うちにはもう、医薬を成長させていく体力がない」――。JTの嶋吉耕史副社長は淡々とそう語った。

日本たばこ産業(JT)は5月7日、医薬事業からの完全撤退を発表した。JT本体の医薬事業と傘下の鳥居薬品を、医薬品大手の塩野義製薬へ売却する。一連の事業の譲渡価額は総額およそ790億円。増加するキャッシュの使途は未定としている。

研究開発費が重荷に

1987年に医薬事業へ参入したJTだが、近年は研究開発費が重荷となり利益が伸び悩んでいたため、資金力のある競合大手との競争は困難と判断した。

一方、主力の紙巻きたばこは先進国を中心に需要が減退している。2024年12月期の医薬事業の売上高はグループ全体の3%程度だが、経営資源をたばこ事業に集中させることは重要だ。

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