JTが「紙巻きたばこ会社」を買収した納得の理由 アメリカへ進出、なぜ縮小する紙巻きに注力?

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JTはベクター社を買収し、加熱式たばこへの投資を加速させる(写真:ベクター・グループ)

JTが、ついにアメリカの本格進出に乗り出した。

たばこ大手のJTは今年10月、アメリカの紙巻きたばこ専業会社ベクター・グループを約3780億円で買収している。

ベクターの2023年12月期業績は売上高約2100億円、営業利益約480億円で、アメリカにおけるシェアは4位。この買収で、同国におけるJTのシェアは2.4%から8.2%(2024年1~9月期時点)へと拡大している。

アメリカは年間のたばこ販売数量が約1760億本で世界4位。販売金額では世界2位の巨大市場だ。しかし、近年は数量の減少が続いている。特に紙巻きは、健康志向の高まりなどから先進国を中心に縮小が進む。逆風の中、なぜ紙巻き専業であるベクターの買収に踏み切ったのか。

アメリカは収益性が高い

JTが目をつけたのは、ベクターのブランド力とアメリカ市場の特性だ。同社はアメリカのシェア上位10ブランドのうちの1つ「モンテゴ」や、「イーグル」「ピラミッド」などを保有。知名度が高い商品が多く、全米で販売されている。

JTはこれまで34の州で自社商品を販売していたが、買収によりアメリカ全土へ販売網を広げていく。今後、JT商品の販売店数は従来の約2倍へ拡大する見込みで、約90億本の販売数量を獲得できる。

紙巻きの需要が縮小している市場にもかかわらず、ベクターはアメリカで販売本数を伸ばし、シェアを高めている。

その理由は価格だ。ベクターの特徴は最も安い価格帯で多くの商品を展開していること。インフレが続くアメリカはたばこの値上がりが激しく、ベクターも値上げを実施している。それでもシェア首位のマルボロの価格は7.7ドルまたは9.4ドルなのに対し、モンテゴは6ドルと安い(2024年9月時点、JT調べ)。

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