JTが「紙巻きたばこ会社」を買収した納得の理由 アメリカへ進出、なぜ縮小する紙巻きに注力?

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縮小

低価格志向の客に加えて、中・高価格帯商品を購入していた客の受け皿となり、販売量が拡大しているのだ。

市場としての成長可能性も大きい。アメリカのたばこ商品は一般的に、年に複数回値上げされる。収益性は高く、今後もアメリカは金額ベースで成長を続けるとみられている。

JTの古川博政CFOは、買収について「アメリカは市場規模が大きく、金額的な成長可能性も高い。数量が減っても利益が取れるので、展開したかった」と語る。

ベクターを選んだ理由は「紙巻き専業でJTの投資戦略に合致している。4位でプレゼンスも上げられる。より上位の会社は独禁法の関係があり、価格も高い」(古川CFO)と説明する。

プルーム拡大のために稼ぐ

紙巻きで得た原資を、加熱式たばこの投資へ振り向ける狙いもある。

JTは売上高の約9割を紙巻きで稼ぐ(2023年12月期実績)。同社の予測では、世界全体で紙巻きの売り上げは2035年まで成長を続け、加熱式などが成長しても、売り上げ構成比は60%以上を維持する見通しだ(2022年は79%)。しばらくは紙巻きが収益源であり続ける可能性が高い。

一方、日本や欧州を中心に、加熱式など煙の出ない商品の需要は拡大している。将来的に構成比が紙巻きと逆転する可能性もある。

イギリスの調査会社ユーロモニターによれば、JTの加熱式の世界シェアは2023年に6%程度。同71%と他を圧倒するアメリカのフィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)や同15%を占めるイギリスのブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)に後れを取っている。JTは一段と加熱式に力を入れる必要がある。

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