JT苦節5年「王者アイコス」へ繰り出す下克上戦略 加熱式たばこの最新モデルを28市場へ怒濤展開

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ユーザー定着に向けて、日本流のサポートである電話の相談窓口も導入した。紙巻きとも、他社製品とも使用方法が異なるため、より丁寧なサポートを打ち出している。

嶋吉耕史副社長は「日本が加熱式で最も大きなマーケットなので、日本で商品開発などイノベーションを進め、海外に広げる戦略」と語る(写真:JT)

加熱式はデバイスが存在するゆえに知名度を高め、試して、定着してもらう、段階を踏んだマーケティングが必要になる。さらに遵守すべき各国の規制は多く、地域ごとに好まれるフレーバーも違う。マーケの手法も微妙な調整が必要になってくるわけだ。

海外戦略を担当してきた嶋吉耕史副社長は「スティックに紙巻きのブランドを用いるなど、われわれの既存の紙巻きのユーザーを誘導することがメインの戦い方。アイコスに逃げられないよう、しっかり投資していく。各国の担当者から『早くこちらのマーケットに投入してくれないか』という声が多い」と語る。

競合を追い越したのか?

グローバル展開を進める中で、武器もそろってきた。2023年11月に投入した新モデル「プルームXアドバンスド」だ。

最高加熱温度を従来の約295度から約320度に引き上げ、温度と気流をコントロールし、吸いごたえとたばこ葉の味わいを一段と引き出している。デザインもより高級感を意識したものに変わった。日本での価格は赤字覚悟の1980円だ。

プルームXのユーザーが使用をやめてしまう理由として「吸いごたえがない」「味や香りが弱い」といった要素があった。これはプルームXに限らず、紙巻きの「燃焼」と「加熱」の違いによるものだが、JTはこの点を克服できないか試行錯誤を重ねてきた。

2019年の「プルームS」投入後、競合と比べて甘さ、苦さ、後味、ベイパー(蒸気)の量、吸いごたえを指す「キック感」はどうかなど、細かく分析し、調整してきた。製品名を伏せたユーザー調査では、アイコスと比較してアドバンスドは、大幅に上回る支持を得ることができたという。レギュラー(たばこ葉の風味)に加えて、特にメンソールとフルーツフレーバーでは圧倒的な結果だった。

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