JT苦節5年「王者アイコス」へ繰り出す下克上戦略 加熱式たばこの最新モデルを28市場へ怒濤展開
現在、各国で徹底して力を入れるのは、プルームブランドの訴求だ。日本と異なり、欧州でのブランド認知はほぼゼロに近い。知名度がなければ、消費者はデバイスを試してもらうどころか、存在にすら気づかない。
イタリア・ミラノでは2023年11月、目抜き通りの一等地に旗艦店がオープンした。現地のメディアやインフルエンサー、小売店の関係者を集めて大々的にパーティを行った。DJがBGMで盛り上げ、飲み物も提供するなど、クラブのようなおしゃれな雰囲気でブランドをアピールしている。
イタリアではほかにも、世界4大コレクションの1つであるミラノ・ファッションウィークでドルチェ&ガッバーナの協賛を得てブースに出展している。世界的なファッション発信地の力を、大いに活用する取り組みだ。
アイコスよりも安い価格設定
プルームXを扱う場所も広げている。旗艦店ほどではないが、たばこ店に協賛して売り場を作る。ショッピングセンターの中に販売所を置いてデバイスを試してもらうなど、消費者との接点を増やしている。
後追いでは価格戦略も欠かせない。どの国でも基本的に競合よりも安い価格で販売している。消費者が実際に製品を試すチャンスは、デバイスの値引きキャンペーンが多い。クリスマスなど季節のイベントに合わせて値引きを繰り出し、手に取りやすいようにしている。
タバコの販売店はもちろん、美容師、カフェのバリスタ、バーテンダーなどにアンバサダーになってもらい、成人の喫煙者に商品を勧めるプログラムもある。接客する中で「においがつきにくい」などと加熱式のよさを広めてもらうわけだ。アンバサダーの選定からは、おしゃれなブランドとして打ち出すJTの狙いが見えてくる。
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