東大生語る「意外と間違って理解」ある言葉の意味 「変化」の正しい意味を理解できているか?

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このような「普段使っている言葉が、厳密には間違っている」例はたくさんあります。

「矛盾」と聞いて、わからない人は少ないでしょう。しかし、しっかり意味を理解できている人は意外と多くいません。

「君の発言は矛盾しているぞ」と指摘したときに、重大な情報が抜けていることに気づかなければなりません。変化がAとBの2つの状態を説明したように、矛盾もAとBの2つの状態が対立することを言います。

「矛盾」を指摘するのであれば、AとBの2つの要素に触れなくてはいけません。「君は昔こう言っていたのに、さっきの発言は違っている。矛盾している」と、2つの要素が必要になるのです。

まずは簡単な言葉から理解を深める!

普段から言葉に対する感度を上げて、言葉の使い分けに敏感になったり、使う言葉に気をつけたりする。自分の言葉に対する理解度のレベルを上げると、新しい言葉を覚えるときにも有効になる場合があります。

たとえば、「信用」とついた言葉はたくさんあります。「信用取引」や「信用創造」など。これらの言葉を知るときに、「信用」の意味をそもそも理解していないと、新たに知る言葉の意味を理解することも難しいでしょう。

「変化」に関わる言葉も多いです。先ほど挙げた「〇〇化」のバリエーションは、それこそ無限にあります。

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「概念化」「類型化」「酸化」「ドーナツ化」「事業化」「凶暴化」など。一見すると「変化後」だけの意味が先行しますが、実際は変化前が存在しています。

「凶暴化」は、もとから凶暴な動物には使いません。「それまで凶暴ではなかったものが、凶暴になる」のです。これらはすべて、「変化」の意味を理解できていないと間違って使ってしまいます。

簡単な言葉の意味を、しっかりと根本から理解する。そして、それを土台に、難しい言葉を理解していけばいいのです。

みなさんが普段触れている語彙がいかに深いものかを理解できるのであれば、それがきちんと土台になるはず。語彙の勉強は「深く狭く」が原則です。1つひとつの言葉に対して、「深く狭く」向き合い、土台から理解すると、語彙力は高まっていくはずです。ぜひ参考にしてみてください。

西岡 壱誠 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当

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にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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