東芝、不適切会計で異例の「2段階」総会 問われる第三者委員会の中立性
実は東芝に対しては、中立であるべき第三者委の選出について、懸念の声も挙がっている。過去に東芝と利害関係のある委員がいるからだ。
弁護士の委員が共同代表を務める法律事務所は、東芝の連結子会社である原子燃料工業と顧問契約を結んでいた(委員就任に伴って契約は解除)。また公認会計士の委員が所属していた監査法人は、東芝グループと現在も一定の取引関係が存在する(すでに委員は定年退職)。
これに田中社長は「メンバーは特に問題ないと考えている」と説明。東芝も第三者委は日本弁護士連合会によるガイドラインに準拠しているとする。ただ、ガイドラインの一文には「企業等から独立した立場」と記載されており、どこまで独立性が保たれているか、疑問の余地は残る。
過去の経営陣の責任は?
東京証券取引所からのプレッシャーもあり、第三者委の調査にかける期間は2カ月強。それでも実際調査に当たるのは、委員4人に加え、委員の属する法律事務所や監査法人が補助者として、起用されるのみ。日常業務もあるのに、どれだけ時間や労力を割けるか。海外も含むグループ企業は、東芝からの自主チェックにとどまる。
第三者委が調査を進める中、今後注目されるのは、新たに追加される損失の規模や悪質性、さらにそれらを踏まえた経営責任の取り方だ。
すでに判明した500億円強の損失にかかわる期間は、佐々木則夫副会長が社長を、西田厚聰相談役が会長を務めた時期と重なる。不正が起きた担当部門、現経営陣だけでなく、過去のトップも責任を取るかが焦点になろう。名門・東芝は創業以来、最大の危機に立たされている。
(撮影:尾形文繁)
(「週刊東洋経済」2015年6月13日号<8日発売>「核心リポート01」を転載)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら