シャープ新中計に懸念、アップルとすきま風 JDIに乗り換えるアップルの変心がリスクに

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成長路線を描けない高橋興三社長に批判も(撮影:大澤 誠)

「希望退職以外にほとんど具体策がない。これでどう再建するのか」(シャープ社員)。5月14日に発表されたシャープの新中期経営計画に対する評価は厳しい。

発表されたのは、国内3500人の希望退職などのリストラに加え、カンパニー制への移行といった再建策だ。だが、テレビや電子部品の工場閉鎖、太陽電池の 撤退・縮小といった、一部報道で伝えられていた合理化策は棚上げ。2015年3月期の480億円の営業赤字から、2018年3月期には同1200億円への黒字化を目指すが、「前回の中計を達成できず、なぜ今回できるかの説得力に欠ける」と、社内からも厳しい声が飛ぶ。市場も再建策の乏しさに失望して、株価は翌 15日に年初来安値を更新した。

さらなる在庫評価損なら連結債務超過?

不透明な再建シナリオとは裏腹に、中計でクリアになったことがある。収益柱とする液晶事業の在庫リスクだ。

前期決算においては、液晶パネルの在庫評価減295億円を計上。太陽電池材料関連の引き当て587億円と合わせた、計882億円の損失は、営業赤字に再び転落する元凶となった。

しかし過剰在庫のリスクはまだ存在しそうだ。

シャープの資料によれば、液晶パネルを含め、全社の実質的な在庫である棚卸資産と未収入金の合計は、前々期末の約4300億円から前期末の約5300億円へと、約1000億円も膨らんでいる。これはさばけない在庫がたまっている証拠。「本来なら、この1000億円も評価損として引き当てるべきで、損失の先送りだ。ただ工場を無理にでも稼働させなければ、その分営業利益が減ってしまう。いずれにせよ連結債務超過に陥ることになる」(サークルクロスコーポレーションの若林秀樹主席アナリスト)。

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