シャープ新中計に懸念、アップルとすきま風 JDIに乗り換えるアップルの変心がリスクに
さらに別のリスクも浮上している。工場の減損だ。
すでにシャープは前期、液晶テレビの海外工場や電子部品の広島工場、さらに液晶パネルの三重工場や亀山工場など、投資回収が見込めなくなった工場について、計1000億円以上の減損を特別損失に計上。ただし、液晶パネル工場については三重工場の減損が中心とシャープ側は説明しており、「亀山第2工場にはさらなる減損リスクがある」(若林アナリスト)。加えて業界で懸念されているのが、シャープと米アップルとの“関係変化”だ。
亀山には第1、第2工場があり、第1工場はアップル「アイフォーン」の専用工場である。アイフォーン向けはシャープ、ジャパンディスプレイ(JDI)、韓国LGディスプレイの計3社が供給している。タッチセンサーを液晶パネルに内蔵する、「インセル」パネルの独自技術をアップルが供与するが、もともとその技術はJDIが先行していた。「生産の習熟度でアップルはシャープよりもJDIに信頼を置いている」(業界関係者)という。
臆測呼ぶJDIのアイフォーン専用工場
実際にJDIは今年3月、石川県白山市に液晶新工場を建設すると発表(16年稼働見込み)。同工場もまたアップルが投資するアイフォーン専用工場だ。業界では「白山工場が稼働すれば、シャープがアップルから切られるのではないか」との見方も浮上。シャープの液晶に対し、さらなる不安が広がっている。
シャープは新中計発表の際に、液晶トップだった方志教和専務が退任し、経理畑の大西徹夫副社長が液晶構造改革担当に就くと発表した。これには「液晶のリスクを監視させるために、銀行側が大西氏を就けたのでは」との声も漏れてくる。再建をめぐる懸念は拡大する一方だ。
(「週刊東洋経済」2015年5月30日号<25日発売>「核心リポート02」を転載)
シャープの株価・業績 は「四季報オンライン」で
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら